借地契約を終了させるには正当事由が必要!借地契約の更新拒絶について解説

普通借地権は、契約期間が満了しただけで当然に終了するわけではなく、地主が借地人からの更新請求や期間満了後の土地使用継続に異議を述べて更新を拒絶するためには、「正当事由」が必要です(借地借家法5条・6条)。

地主から「契約期間が終わったので土地を返してほしい」と言われても、普通借地権であれば、直ちに建物を取り壊して土地を明け渡さなければならないとは限りません。

正当事由の有無は、地主と借地人の双方が土地を必要とする事情だけでなく、これまでの借地関係、土地の利用状況、地主から提示された立退料などを総合的に考慮して判断されます。

【弁護士監修】普通借地権の更新拒絶で重要なポイント

  • 普通借地権は期間満了だけでは当然に終了せず、法定更新される場合があります。
  • 地主が更新を拒絶するには、借地人の更新請求または土地使用の継続に対して遅滞なく異議を述べる必要があります。
  • 地主の異議には、借地借家法6条に定める「正当事由」が必要です。
  • 立退料は正当事由を補完する要素であり、高額な立退料を提示すれば必ず更新拒絶が認められるわけではありません。
  • 普通借地権と定期借地権では、期間満了時の扱いが大きく異なります。

この記事では、普通借地権の期間満了後の扱い、法定更新、地主による更新拒絶、正当事由の判断要素、立退料、更新拒絶後の土地明渡しや建物買取請求権について、不動産法務を扱う弁護士が解説します。

借地契約の更新拒絶・正当事由について弁護士に相談

目次

1、借地契約は期間満了でどうなる?

借地契約が期間満了によって終了するかどうかは借地権の種類によって異なり、普通借地権では法定更新があり得る一方、定期借地権は原則として契約で定めた期間の満了によって終了します。

(1)普通借地権の存続期間

借地借家法が適用される普通借地権の当初の存続期間は原則30年で、契約によって30年より長い期間を定めた場合にはその期間となります(借地借家法3条)。

普通借地権は、契約期間の満了後に更新することが予定されている借地権です。

借地借家法3条では、普通借地権の当初の存続期間を30年とし、当事者が30年より長い期間を定めた場合にはその期間によるとしています。

30年より短い期間を定めても、借地人に不利な特約としてその短い期間をそのまま適用することはできません。

普通借地権を更新した場合の期間は、最初の更新では原則20年、2回目以降の更新では原則10年で、当事者がそれより長い期間を定めた場合にはその期間となります(借地借家法4条)。

借地権の種類、普通借地権と定期借地権の違いについては、「借地権とは?借地権の種類やメリット・デメリットを解説」もあわせてご覧ください。

(2)1992年8月1日より前に設定された借地権

1992年(平成4年)8月1日の借地借家法施行前に設定された借地権については、契約更新などの事項に旧借地法の経過措置が適用されるため、現在の借地借家法だけで判断することはできません。

旧借地法では、建物が堅固建物か非堅固建物かによって借地権の存続期間が区別されていました。

  • 堅固建物を目的とする借地権では、期間の定めがない場合などの法定期間は原則60年とされていました。
  • 非堅固建物を目的とする借地権では、期間の定めがない場合などの法定期間は原則30年とされていました。
  • 更新後の期間は、旧借地法上、堅固建物では原則30年、非堅固建物では原則20年とされていました。

古い借地契約では、契約締結時期、建物の構造、これまでの更新経緯などによって適用されるルールが異なるため、個別の契約書を確認する必要があります。

(3)定期借地権は原則として期間満了で終了する

定期借地権は、法律上の要件を満たして設定されていれば、普通借地権とは異なり、原則として契約期間の満了によって終了し、契約の法定更新はありません。

代表的な定期借地権には、次の種類があります。

  • 一般定期借地権は、50年以上の期間を定めて設定する借地権です。
  • 事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的として、10年以上50年未満の期間で設定する借地権です。
  • 建物譲渡特約付借地権は、設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を地主へ譲渡することにより借地権を消滅させる旨の特約を付した借地権です。

そのため、地主から期間満了を理由に土地明渡しを求められた場合には、最初に対象となる契約が普通借地権なのか定期借地権なのかを確認することが重要です。

2、普通借地権は期間満了だけでは終了しない

普通借地権では、期間満了時に借地人が更新を請求した場合や、期間満了後も建物が存在したまま土地の使用を継続した場合には、地主が遅滞なく正当事由のある異議を述べない限り、借地契約が法定更新されます(借地借家法5条・6条)。

(1)借地契約には合意更新と法定更新がある

普通借地権の更新には、地主と借地人が契約更新に合意する「合意更新」と、法律上の要件を満たすことで更新されたものとみなされる「法定更新」があります。

地主と借地人が更新期間、地代、更新料その他の条件について合意すれば、合意更新として契約を更新できます。

一方、地主との間で更新契約を締結できなかったとしても、借地借家法5条の要件を満たす場合には法定更新が成立します。

借地借家法5条1項
借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

借地借家法5条2項
借地権の存続期間が満了した後借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。

法定更新には、主に次の2つがあります。

  • 請求更新とは、借地権の期間満了時に建物が存在し、借地人が地主へ契約の更新を請求した場合に問題となる法定更新です。
  • 使用継続による更新とは、借地権の期間満了後も建物が存在し、借地人が土地の使用を継続している場合に問題となる法定更新です。

(2)地主が法定更新を拒むには「遅滞なく異議」を述べる必要がある

地主が法定更新を阻止するためには、借地人による更新請求または期間満了後の土地使用継続に対して、「遅滞なく異議」を述べる必要があります。

借地人が更新を請求した場合には、その更新請求に対して地主が遅滞なく異議を述べなければなりません。

また、期間満了後も借地人が土地の使用を継続している場合には、その使用継続に対して遅滞なく異議を述べる必要があります。

地主が何も対応せず、借地人による土地使用が続いた場合には、法定更新が成立する可能性があります。

(3)更新料を支払わなければ更新されないわけではない

普通借地権では、更新料の支払いと法定更新の成立は別の問題であり、地主と更新料の合意ができなかったという理由だけで当然に法定更新が否定されるわけではありません。

一方、借地契約書に有効な更新料支払特約がある場合には、更新料を支払う契約上の義務が生じることがあります。

つまり、

  • 借地契約が更新されるか
  • 更新料を支払う義務があるか

は分けて考える必要があります。

借地の更新料の支払義務、相場・計算方法、高すぎる更新料を請求された場合や払えない場合の対応については、「借地の更新料はいくら?相場・計算方法と、高すぎる・払えないときの対処法を弁護士が解説」をご覧ください。

3、地主が更新拒絶をするには「正当事由」が必要

普通借地権について地主が更新を拒絶するためには、単に土地を返してほしいという希望だけでは足りず、借地借家法6条に定められた「正当事由」が必要です。

借地借家法6条は、正当事由について次のように定めています。

借地借家法6条
前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

正当事由は、①地主と借地人が土地を必要とする事情を中心に、②借地に関する従前の経過、③土地の利用状況、④立退料などの財産上の給付を総合して判断します。

(1)地主と借地人が土地の使用を必要とする事情

正当事由で最も重要な判断要素は、地主と借地人の双方について、対象土地を自ら使用する必要性がどの程度あるかという事情です。

地主側については、たとえば次の事情が問題になります。

  • 地主が自宅を建築するために土地を必要としているかが考慮されます。
  • 地主やその家族の居住状況・家族構成が土地利用の必要性を判断する事情になります。
  • 地主が事業のために対象土地を利用する具体的な計画を有しているかが考慮されます。
  • 地主が他に利用可能な土地を所有しているかも土地使用の必要性を判断する事情になります。

借地人側については、たとえば次の事情が問題になります。

  • 借地上の建物を自宅として現実に使用しているかが考慮されます。
  • 借地上の建物で事業を営んでいるかが土地使用の必要性を判断する事情になります。
  • 代替となる住居・店舗・事業用地を確保できるかが考慮されます。
  • 借地人やその家族の生活が土地明渡しによってどの程度影響を受けるかが考慮されます。

裁判所は地主側の事情だけを見るのではなく、地主と借地人の必要性を比較して判断します。最高裁も、土地所有者側だけでなく借地権者側の事情を斟酌して正当事由を判断すべきものとしています。

(2)借地に関する従前の経過

正当事由の判断では、借地契約を締結した経緯、契約期間、地代・更新料・承諾料の支払状況、借地人による契約違反の有無など、これまでの借地関係も考慮されます。

具体的には、次のような事情があります。

  • 借地契約締結時に権利金・保証金その他の一時金が支払われたかが考慮されます。
  • 借地関係が何年間継続しているかが考慮されます。
  • これまでの更新時に更新料が支払われてきたかが考慮されます。
  • 建替え・借地権譲渡などの際に承諾料が支払われた経緯があるかが考慮されます。
  • 借地人に地代の滞納や契約違反があったかが考慮されます。

地代の不払いや契約違反があっても、それだけでは債務不履行解除が認められないケースがあります。

しかし、解除に至らない程度の契約違反でも、正当事由を判断する際に借地人側の事情として考慮される可能性があります。

(3)土地の利用状況

正当事由の判断では、借地上の建物が実際にどのように利用されているか、建物が老朽化しているか、土地を有効に利用しているかなども考慮されます。

土地の利用状況としては、主に次の事情が問題になります。

  • 借地上の建物が住宅・店舗・事務所など、どのような用途で使用されているかが考慮されます。
  • 建物の構造、階数、床面積などが土地の利用状況を判断する事情になります。
  • 建物が現実に使用されているか、空き家となっているかが考慮されます。
  • 建物の築年数や老朽化の程度が考慮されます。
  • 周辺地域の土地利用状況や再開発状況が考慮されることがあります。

たとえば、借地上の建物が長期間空き家になっており、借地人が土地を使用する必要性が低い場合には、地主側の正当事由を補強する事情となる可能性があります。

(4)地主が提示する立退料などの財産上の給付

地主が借地人へ提示する立退料などの財産上の給付は正当事由を補完する要素ですが、地主側に土地を必要とする事情がほとんどない場合に、立退料だけで正当事由を作り出せるとは限りません。

財産上の給付として代表的なのが立退料です。

立退料には、借地権を失うことによる経済的不利益、建物移転等に伴う費用、営業上の損失などを調整する機能があります。

もっとも、借地借家法6条では、立退料は正当事由を判断する複数の要素の一つとして位置付けられています。

「立退料をいくら払えば必ず借地契約を終了できる」という一律の相場や計算式はありません。

最高裁判例でも、立退料は更新拒絶の正当事由を補完する要素として位置付けられています。

4、借地の更新拒絶・正当事由に関する裁判例

借地の更新拒絶に正当事由があるかは個別事情によって結論が異なり、地主・借地人双方の土地利用の必要性、借地関係の期間、建物の使用状況、立退料などが具体的に比較されます。

(1)東京地裁平成21年5月7日判決

東京地裁平成21年5月7日判決は、約80年間続いた借地関係について、借地人側の土地使用の必要性などを考慮した上で、3,000万円の立退料の提供を正当事由の補完要素として更新拒絶を認めた事例です。

この事案では、地主が借地人に対し、債務不履行解除および更新拒絶を理由として建物収去・土地明渡しを求めました。

正当事由を判断する上で考慮された事情として、次のような点が挙げられます。

  • 借地関係が前所有者の時代から約80年間継続していたことが考慮されました。
  • 借地人が地主の承諾なく建物の大規模修繕や解体・再築を行ったことが考慮されました。
  • 借地上の一部建物が空き家となっており、借地人側の使用必要性が高くなかったことが考慮されました。
  • 地主が返還後の土地と隣接地を利用して新しい賃貸用建物を建築する計画を有していたことが考慮されました。
  • 地主が3,000万円の立退料を提供することが正当事由を補完する要素として考慮されました。

この裁判例からも、借地関係が長期間続いているという一つの事情だけで結論が決まるものではないことがわかります。

(2)東京地裁平成23年4月8日判決

東京地裁平成23年4月8日判決は、借地人側の土地使用の必要性が低く、地主側の土地利用の必要性が高いと評価された事案で、立退料の提供がなくても更新拒絶の正当事由を認めた事例です。

この事案では、東京都墨田区の土地について、地主がマンション建築等を目的として更新を拒絶しました。

裁判所が考慮した主な事情として、次の点が挙げられます。

  • 地主側には、対象土地を利用する具体的な必要性があったことが考慮されました。
  • 借地人が所有する共同住宅や事務所が老朽化していたことが考慮されました。
  • 借地人が事業を廃業するなど、借地上の建物を現実に利用する必要性が低下していたことが考慮されました。

このように、立退料は正当事由の必須要件ではなく、地主側の必要性が強く、借地人側の必要性が低い場合には、立退料がなくても正当事由が認められることがあります。

5、地主から更新拒絶を受けた借地人はどう対応すべきか

地主から借地契約の更新拒絶を通知された場合には、直ちに土地明渡しに応じるのではなく、①借地権の種類、②更新拒絶の時期、③正当事由、④立退料、⑤建物買取請求権の有無を確認する必要があります。

(1)普通借地権か定期借地権か確認する

地主から期間満了を理由に明渡しを求められた場合に最初に確認すべきなのは、対象となる借地契約が普通借地権なのか定期借地権なのかという点です。

普通借地権であれば、期間満了だけで当然に終了するわけではなく、法定更新や正当事由が問題になります。

一方、有効に成立した定期借地権では、期間満了による終了が原則となります。

(2)地主がいつ、どのような異議を述べたか確認する

普通借地権では、地主が更新を拒絶するためには、借地人の更新請求や期間満了後の土地使用継続に対して遅滞なく異議を述べているかを確認する必要があります。

地主が期間満了後も長期間何も異議を述べずに借地人の土地使用を認めていた場合には、すでに法定更新が成立している可能性があります。

(3)地主側に正当事由があるか確認する

地主が「自分の土地だから返してほしい」「建物を建て替えたい」というだけでは当然に正当事由が認められるわけではなく、借地人側の土地利用の必要性と比較して判断する必要があります。

地主から更新拒絶を受けた場合には、更新拒絶通知だけでなく、地主が土地を必要とする具体的な理由を確認します。

(4)立退料を含めて交渉する

地主側の正当事由が十分とはいえない場合でも、一定の正当事由が存在するケースでは、立退料を含む条件を調整することで合意による借地契約終了が可能になることがあります。

立退料は法律上一定額に決まっていないため、借地権の経済的価値、建物の価値、移転費用、地主・借地人双方の土地利用の必要性などを踏まえて交渉します。

(5)更新料の問題と更新拒絶を混同しない

地主から「更新料を支払わないなら更新しない」と言われた場合でも、更新料の支払義務と、地主の更新拒絶に正当事由があるかは別々に検討する必要があります。

更新料の支払義務がない場合に、更新料を払わないことだけで当然に普通借地権を終了させられるわけではありません。

一方、有効な更新料支払特約が存在する場合には、更新料の不払いが別途契約上の問題となる可能性があります。

借地の更新料については、「借地の更新料はいくら?相場・計算方法と、高すぎる・払えないときの対処法を弁護士が解説」で詳しく解説しています。

6、地主の更新拒絶に正当事由が認められた後の流れ

地主の更新拒絶に正当事由が認められ、普通借地権が期間満了によって終了した場合には、借地人は原則として土地を返還する必要がありますが、建物買取請求権を行使できる可能性があります。

(1)まず土地明渡しについて交渉する

借地契約が終了した場合でも、地主が直ちに自力で建物を撤去したり借地人を排除したりできるわけではなく、借地人が任意に明け渡さない場合には法的手続きが必要です。

通常は、地主と借地人との間で、土地明渡しの時期、建物の処理、立退料、建物買取請求権などについて協議します。

合意する場合には、土地明渡しの期限や金銭支払条件などを合意書に明確に記載しておくことが重要です。

(2)借地人が明け渡さない場合には訴訟になることがある

地主と借地人との交渉で土地明渡しについて合意できない場合には、地主が建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、更新拒絶の正当事由などについて裁判所の判断を求めることがあります。

訴訟では、地主と借地人双方の土地利用の必要性、これまでの借地関係、土地・建物の利用状況、立退料の申出などが証拠に基づいて審理されます。

裁判所の判例でも、地主側の使用必要性だけではなく、借地人側の必要性も比較して正当事由を判断する必要があるとされています。

(3)借地人には建物買取請求権が認められる場合がある

普通借地権の存続期間が満了し、契約が更新されない場合には、借地人は借地借家法13条に基づき、地主へ借地上の建物等を時価で買い取るよう請求できる可能性があります。

そのため、「正当事由が認められて更新されない=借地人が必ず自己負担で建物を取り壊さなければならない」とは限りません。

もっとも、建物買取請求権は、債務不履行解除などの場合には原則として認められないなど、成立には条件があります。

建物買取請求権の成立条件、時価の考え方、認められないケースについては、「借地権と建物買取請求権の関係について詳しく解説」をご覧ください。

7、地主が借地契約を更新拒絶する場合の注意点

地主が普通借地権の更新を拒絶する場合には、期間満了直前になって突然明渡しを求めるのではなく、正当事由を構成する事情と立退料等の条件を整理し、早期に借地人との交渉を開始することが重要です。

(1)「自分の土地だから」という理由だけでは不十分

土地の所有者が地主であること自体は正当事由にはならず、地主が対象土地を使用する具体的必要性などを説明する必要があります。

たとえば、地主自身の居住用建物を建てる、具体的な事業計画のために土地を利用するなどの事情が問題になります。

単に「売却したい」「もっと高く利用したい」という事情だけで正当事由が認められるかは、借地人側の事情も含めた個別判断になります。

(2)立退料だけで解決できるとは限らない

立退料は正当事由を補完することはできますが、地主側の正当事由がほとんど存在しない場合に、金銭だけで当然に更新拒絶を有効にできるわけではありません。

一方、地主・借地人双方に一定の土地使用の必要性があり、正当事由の強さが拮抗している場合には、立退料の提供が結論に重要な影響を与えることがあります。

(3)正当事由は更新拒絶時を基準として準備する

更新拒絶を行う場合には、地主が土地を必要とする理由や利用計画を後から作るのではなく、異議を述べる時点で正当事由を裏付ける事情を具体的に整理しておくことが重要です。

最高裁判例でも、正当事由の判断基準時と、立退料による補完との関係が問題とされています。

8、借地契約の更新拒絶は弁護士に相談を

借地契約の更新拒絶では、普通借地権か定期借地権か、法定更新が成立しているか、正当事由があるか、立退料はいくらが合理的かなど複数の論点を同時に検討する必要があります。

地主側が更新拒絶を検討している場合には、更新拒絶を通知する時期や内容、正当事由を裏付ける証拠、立退料の提示などを検討する必要があります。

借地人側が更新拒絶を受けた場合には、地主の異議が適切な時期になされたか、正当事由が十分か、法定更新が成立していないかなどを確認する必要があります。

また、土地明渡しを合意する場合には、立退料だけでなく、建物買取請求権、明渡期限、地代の精算、建物の処理なども含めて条件を整理する必要があります。

借地トラブルを弁護士に相談するメリットや弁護士費用、弁護士の選び方については、「借地に関するトラブルを弁護士に依頼する3つのメリット」もあわせてご覧ください。

9、まとめ

普通借地権は契約期間が満了しただけでは当然に終了せず、地主が更新を拒絶するには、借地人による更新請求や土地使用の継続に対して遅滞なく異議を述べ、その異議について借地借家法6条の正当事由が認められる必要があります。

地主による更新拒絶については、主に次の順番で確認します。

  1. 普通借地権か定期借地権かを確認します。
  2. 借地契約の期間満了日と更新の経緯を確認します。
  3. 借地人が更新請求をしたか、期間満了後も土地を使用しているかを確認します。
  4. 地主が遅滞なく異議を述べているかを確認します。
  5. 地主と借地人双方の土地使用の必要性を比較します。
  6. 従前の借地関係や土地・建物の利用状況を確認します。
  7. 立退料などの財産上の給付を含めて正当事由を検討します。

更新料について地主と争いになっている場合には、「借地の更新料はいくら?相場・計算方法と、高すぎる・払えないときの対処法を弁護士が解説」をご覧ください。

借地権の種類や普通借地権・定期借地権の違いについては、「借地権とは?借地権の種類やメリット・デメリットを解説」をご覧ください。

借地契約が更新されず終了した場合の建物買取請求権については、「借地権と建物買取請求権の関係について詳しく解説」で詳しく解説しています。

借地契約の更新拒絶・正当事由でお困りの方へ

地主から更新拒絶を受けた場合も、地主として借地契約を終了させたい場合も、普通借地権では正当事由の有無が重要になります。

ダーウィン法律事務所では、借地・底地をはじめとする不動産案件を取り扱っています。借地契約の更新拒絶、土地明渡し、立退料、建物買取請求権などについてお困りの場合には、更新時期や明渡条件を確定する前にご相談ください。

借地契約の更新拒絶・正当事由・土地明渡しについて弁護士に相談

この記事を監修した弁護士

荒川香遥
  • 弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士

    荒川 香遥

    ■東京弁護士会
    ■不動産法学会

    相続、不動産、宗教法務に深く精通しております。全国的にも珍しい公正証書遺言の無効判決を獲得するなど、相続案件について豊富な経験を有しております。また、自身も僧籍を有し、宗教法人法務にも精通しておりますので、相続の周辺業務であるお墓に関する問題も専門的に対応可能です。

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