F.共有不動産分割
不動産を共有していると、他の共有持分権者とトラブルになってしまう例が多々あります。
「共有関係から離れたい」と考える方が多いでしょう。
共有不動産がある場合、各共有持分権者は共有物分割を請求できます。
この記事では共有不動産分割とは何か、よくあるトラブルや共有物分割の方法を解説します。不動産を親族などと共有している方はぜひ参考にしてみてください。
共有物分割とは、不動産などの共有物をそれぞれの共有持分権者の取得部分に分割することです。
共有物分割をすると、物件の共有状態を解消できます。
不動産を共有していると、他の共有持分権者ともめてしまうケースが少なくありません。自分の自由に不動産を活用できないデメリットもあります。
共有物分割をすれば不動産の共有状態が解消されるので、こうした不便さやデメリットから解放されます。
親族などと不動産を共有していて共有関係から脱却したい方は、共有物分割請求を検討しましょう。
共有物分割請求をする場合、まずは他の共有持分権者と協議しなければなりません。協議が調わなければ訴訟になるケースもあります。その各段階でトラブルになるケースが多々あります。以下で具体的にどのようなトラブルやご相談事例があるのか、解決方法とともにみてみましょう。
2-1.相手が共有物分割に応じてくれない
共有物分割を協議で進めるには、共有者が全員参加して話し合いをしなければなりません。
しかし共有物分割の協議を進めようとしても、他の共有持分権者が応じるとは限りません。
話し合いを持ちかけても無視されてしまうケースもあるでしょう。
弁護士にも「他の共有者が話し合いに応じてくれない」というご相談が多々あります。
相手が協議に応じない場合には、以下のように対応しましょう。
内容証明郵便で共有物分割を請求する
相手が共有物分割の協議に応じないなら、内容証明郵便で共有物分割請求を行いましょう。内容証明郵便を利用すると、相手に請求した証拠を残せます。これにより、訴訟に必要な「事前の協議が調わなかったこと」の要件を満たす証拠にできて、次のステップへ進む足がかりになります。また相手にプレッシャーをかけらえるので、相手によっては話し合いに応じてくるでしょう。
弁護士に依頼する
相手が協議に応じないなら、弁護士に代理交渉を依頼しましょう。
弁護士が対応すると、相手も真剣に受け止めて協議に対応する可能性があります。
お互いが感情的になってしまう場合でも、弁護士が入ればビジネスライクに話を進められるメリットがあります。
訴訟を起こす
共有物分割を協議ではできない場合、訴訟を提起しましょう。
訴訟を起こせば、裁判所が適切な共有物分割の方法を決定してくれます。
2-2.代償分割の金額で折り合わない
共有物分割のトラブルや相談事例で多いのは「代償分割するのに金額面で折り合わない」という問題です。
代償分割とは、特定の共有持分権者が不動産を取得し、他の共有持分権者へ代償金を支払って清算する方法です。
代償分割する場合、適切に不動産を評価して代償金の金額を算定しなければなりません。前提として不動産の評価も必要となります。不動産の評価方法や支払金額について合意ができないと、もめてしまう可能性が高くなります。
弁護士に相談・依頼する
もしも代償分割で金額について折り合わないなら、一度弁護士までご相談ください。弁護士であれば不動産の適切な評価方法についてアドバイスできますし、当事者の代わりに相手との交渉もできます。
訴訟を起こす
代償金について協議が調わない場合にも、最終的には訴訟を起こさねばなりません。
2-3.代償分割で不動産の取得者に支払い能力がない
代償分割する場合には、不動産を取得する人に支払い能力が必要です。
代償金を支払えない場合には代償分割ができません。
ところが現実にはあまり資力がなくても代償分割を希望する人がいます。
支払いができないのに不動産の取得を希望する共有持分権者がいると、他の共有者と折り合いがつかずにもめてしまう例が多数です。
分割払いにする
代償金を一括で支払えない場合には分割払いも検討できます。
ただしあまり長期の分割払いになると途中での不払いリスクが高くなるので、おすすめではありません。
弁護士に相談・依頼する
代償金についてもめてしまったなら、弁護士に相談しましょう。
弁護士に交渉を任せれば、弁護士が相手を説得するので、共有不動者の取得をあきらめさせやすくなります。換価分割(任意売却)などの別の方法で共有物分割する方法を模索しましょう。
訴訟を起こす
相手とどうしても折り合いがつかない場合には、共有物分割訴訟を提起しなければなりません。
2-4.分割方法で合意できない
不動産の分割方法についてお互いに合意できないケースもよくあります。
たとえばある共有持分権者は代償分割を希望しているけれども、他の共有持分権者は換価分割を希望する場合などです。そのままでは膠着状態になって共有不動産の分割を進められません。
弁護士に依頼する
他の共有持分権者と意見が違って共有物分割できないなら、弁護士に相談・依頼しましょう。
弁護士に依頼すると弁護士がその事案で最適と考えられる分け方をご提案します。
その方法に共有持分権者全員が合意すれば、共有不動産を分割できます。
訴訟を起こす
他の共有持分権者ともめてしまって合意できなければ、最終的に共有物分割訴訟を起こさねばなりません。
2-5.感情的になってもめてしまう
不動産を共有する場合、共有相手は親族であるケースが多数です。
たとえば相続がきっかけで不動産を共有する例が典型です。
ただ親族同士で話し合いをすると、どうしても感情的になってしまいがちです。
そうなると話し合いもスムーズにできず、協議での解決は難しくなるでしょう。
弁護士に依頼する
もしも他の共有持分権者ともめてしまって話ができないなら、弁護士に相談しましょう。
弁護士が当事者の代理人となって交渉すると、お互いの感情を抑えられるので協議を進めやすくなります。
相手とのやり取りはすべて弁護士に任せるので、依頼者にはストレスもかかりにくくなるでしょう。
訴訟を起こす
感情的になって相手と話ができない場合にも、最終的には共有物分割誠意級訴訟を提起しなければなりません。
共有不動産の分割を弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
3-1.有利に話し合いを進めやすくなる
弁護士は交渉のプロで、日々さまざまな交渉案件に携わって経験やノウハウを蓄積しています。依頼すると、自分で交渉するよりも有利な条件で和解できる可能性が高くなるでしょう。
3-2.協議がまとまりやすくなる
当事者同士で交渉をすると、どうしてももめてしまうケースが多々あります。
弁護士に依頼すると協議がまとまりやすくなるメリットがあるといえるでしょう。
3-3.訴訟になっても対応できる
共有物分割請求でトラブルが発生すると、最終的に訴訟をしなければ解決できません。
弁護士に依頼していれば、協議に引き続いて訴訟も依頼できるので安心です。
3-4.ストレスを軽減できる
他の共有持分権者とトラブルになると、大変なストレスが溜まるものです。他の共有持分権者との協議も精神的な負荷となるでしょう。
弁護士に依頼すると自分で対応しなくて良いのでストレスもかかりにくくなります。
ダーウィン法律事務所では共有不動産の分割に力を入れて取り組んでいます。不動産法務に強い弁護士に、お気軽にご相談ください。