休眠抵当権に関連する専門用語を解説します
休眠抵当権について調べたり、手続きを進めようとすると、一般の方には見慣れない専門用語がたくさん出てきます。
ここでは、休眠抵当権関連で代表的に使われている専門用語について解説しますので、調べていて、わからない専門用語などはこちらの記事を辞書的にご活用ください。
目次
担保権とは、債権者がお金を貸して、万が一完全に返済されなかった場合を想定して、設定契約をしておき、実際に返済されなかった場合には、その設定した財産を回収することができる権利のことを言います。
不動産は担保権の設定に頻繁に活用されています。住宅ローンを用いて不動産を購入する場合に、よく使われる「抵当権」というのが担保権の典型例です。
抵当権とは、住宅ローンなどを借りる時に、購入する土地と建物に、ローンが支払えなくなった場合の担保として、金融機関などから設定される権利のことを抵当権と言います。
家に抵当権を設定するということは、家を担保にいれるということです。
休眠抵当権/休眠担保権とは、明治時代、大正時代、昭和時代の何十年も前の時からついていて、放置された古い抵当権/担保権のことを言います。
休眠抵当権/休眠担保権といっても、置かれている状況は様々です。
詳しくは「【抵当権を消す】休眠抵当権(休眠担保権)とは?」に記述したので、合わせてお読みください。
抵当権抹消登記とは、不動産登記簿に登記されている抵当権を抹消することをいいます。
金融機関から融資を受ける際に担保として設定された抵当権を、住宅ローン完済時には抹消する必要がでてきます。
その登記全体の効力を失わせる登記のことを抹消登記と言います。
通常は司法書士や弁護士に依頼するか、自分自身で書類を作成して、管轄の法務局に届出ることで、抹消登記の手続を行うことができます。
自然人とは、法上の概念で、権利義務の主体となるありのままの個人のことを指します。
法律用語では、自然人とは、単に「生きている人間」のことを意味します。
男性女性、大人も子供も関係ありません。
そのため、自然人という言葉が出てきたら、それは法人ではなく個人のことなんだと考えていただいて大丈夫です。
承継法人とは、分割承継法人とも言い、会社分割をする際に、事業の譲渡を受け承継し、吸収する側の会社(法人)のことを言います。
反対に、事業を譲渡する側のことを分割法人と言います。
承継法人は分割法人からの事業の承継を受け、その対価を分割法人に対して支払った時点で会社分割が完了します。
休眠抵当権(休眠担保権)の抵当権者が法人だった場合、かなり古い抵当権ですので、承継法人が抵当権を引き継いでいるケースもあります。
その場合、調査にさらに時間がかかることもあります。
解散も清算結了も法人に関する言葉です。
解散とは、法人格を消滅させるために必要な法的手続きのことを指します。
解散すると、現時点で行っている会社に関わる営業活動全てを停止させて、これまで発生している債権や債務などの整理をするための作業に入ります。
清算結了とは、清算会社の清算に関する手続きが全て完了し、完全に会社がなくなる状態になったことを指します。
清算会社の債権や債務、また残っている財産が全て清算されて、ゼロの状態になっています。
行方不明(所在不明)とは、行方(所在)がどこにあるか、わからないことを意味しますが、抵当権者(担保権者)が法人か自然人かによって、行方不明の判断基準が変わります。
自然人の行方不明とは、現在登記簿に記載の住所に抵当権者が存在しておらず、どこに居住しているかがわからない状況のことを意味します。
また、抵当権者が死亡している場合には、その相続人が行方不明かどうかで、抵当権者が行方不明かどうかを判断します。
法人の行方不明とは、登記簿に記載がなく、さらに閉鎖登記簿も廃棄済みで、その存在を登記簿から確認できない場合のことを指します。
閉鎖登記簿などで法人そのものの存在が確認できる場合は、解散もしくは決算結了をした法人でも、行方不明ということにはなりません。
弁済期とは、弁済期日とも言いますが、債務者が債務の弁済を行なわなければならない期限のことを指します。
債務が金銭で弁済期が確定している場合には、支払期日と言うことの方が多いです。
登記事項証明書とは、不動産に関してよく使われる言葉で、法務局で管理している、不動産物件の所有者や、その他不動産物件に関する情報が記載されているもののことを言います。
登記簿謄本と言われていることもありますが、同じ意味です。また、登記簿謄本は履歴事項全部証明書のことを意味します。
登記事項証明書には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の4つの種類があります。
閉鎖登記簿とは、何らかの理由により土地や建物の登記記録が閉鎖された場合に、その閉鎖された登記の記録が保存されている帳簿のことを言います。
閉鎖登記簿は、例えば複数の土地が統合されて、番地が消えた時や、建物が取り壊されて消失したりした時、また登記所がコンピュータ化し、これまでの紙の不動産登記簿が磁気ディスクの登記簿へ置き換えられる時などに、閉鎖登記簿として保存されます。
不動産登記法第70条は、単独申請が可能な登記について規定している条文です。
本来不動産登記は、登記権利者と登記義務者と共同申請で行われなければなりませんが、例えば休眠抵当権(休眠担保権)がついているようなかなり古い不動産物件など、登記義務者の行方がわからない時などには、例外的に特別に単独による登記申請が行えることを示しているのが、この不動産登記法第70条です。
下記、不動産登記法第70条の原文です。
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第70条
1.登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)第九十九条 に規定する公示催告の申立てをすることができる。
2.前項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で前項の登記の抹消を申請することができる。
3.第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。
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弁済証書等による抵当権の抹消とは、債務を完済したという証拠書類を法務局に提出する方法のことを言います。
弁済証書とは、債務を完済したことを証明する書類のことです。
抵当権を抹消するために、債権証書、債権及び最後の2年分の利息その他の定期金の受取証書等、弁済を証明する領収書等を提出し、現在の所有者から抹消登記を申請します。
供託とは、供託所という国の機関に対し、金銭や有価証券などを提出することで、その管理を委ね、供託所がその財産をある人に取得させることができる制度のことです。
供託利用の特例とは、不動産登記法70条第3項後段にて定められた休眠抵当権の抹消登記のための特別措置のことを意味しています。
また、供託利用の特例を活用するためには、休眠抵当権の抵当権者が行方不明(所在不明)で、かつ弁済期から20年が経過していて、債権額・利息・損害賠償金額の合計にあたる金銭を供託することが条件付けられています。
休眠抵当権を供託利用の特例を活用し、供託金を支払うためには、これらの金額を調べ、算出することが必要になってきます。
●債権額とは、住宅ローンなどを借りた際に、金融機関を債権者(抵当権者)として抵当権の登記がされる際に記載される債権の金額のことを債権額と言います。債権額は返済の進行によって徐々に減っていくので、実際に残っている債権額のことを残債と言います。
●利息とは、借りたお金の使用料として、借りた人に支払うお金のことで、利子とも言います。
●損害金とは、債務の不履行によって生じた損害の全額に相当する金額のことを言います。つまり遅延損害金のことです。
公示催告とは、約束手形や小切手等の有価証券が盗難や紛失された場合に、裁判所の決定によって、それを無効にするために、利用される手続の一つです。
また、公示催告を行い、有価証券を無効にするための裁判所の決定のことを、除権決定といいます。
休眠抵当権を抹消登記しようとして、登記義務者の所在がわからず行方不明のため、共同で申請できない場合、公示催告によって除権決定を得ることができれば、特例で登記権利者が単独による休眠抵当権の抹消登記を行うことができます。
公示催告による除権決定を利用した休眠抵当権の単独による抹消登記の特例は、不動産登記法70条第1項、第2項に定められています。
登記義務者/登記権利者という言葉は、登記をすることによって権利が変動する者の呼称で、不動産の売買時によく出てくる専門用語です。
今までよりも有利な地位になる者を登記権利者と言い、今までよりも不利な地位になる者を登記義務者と言います。
例えば不動産売買時の所有権移転登記の場合は、売主が不動産物件を失うため登記義務者となり、逆に、買主が登記により権利を得るため登記権利者となります。
休眠抵当権関連でいえば、基本的には抵当権者が登記権利者で、抵当権設定者が登記義務者となります。
清算人とは、清算中の会社に関して、業務の執行を行う者のことを言います。
会社を解散すると、営業活動を終了します。
その後は、会社の財産の整理を行う範囲内でのみ存続する清算会社となります。
取締役は退任し、その後は取締役に代わり、清算人が清算の事務手続を執行します。
休眠抵当権の抵当権者が法人で解散か清算結了している場合は、清算人と協力し、共同で休眠抵当権の抹消登記を行います。
しかし、休眠抵当権に関しては清算人が全員死亡していることも少なくないため、その場合は地方裁判所に対し清算人の選任を申し立てる必要があります。
共同登記申請とは、登記権利者と登記義務者が共同して登記の手続を行うことを言います。
不動産登記法第60条によって、権利に関する登記の申請は特例がある場合を除き、原則共同登記申請を行う必要があると定められています。
休眠抵当権に関しても、登記に関しては原則共同登記申請を行う必要がありますが、その休眠抵当権の状況によっては、不動産登記法70条第2項や第3項で定められた特例によって、単独登記申請を行うことができる場合があります。
登記簿上の住所と同じ住所・本籍において、現時点で対象の人物は在住・在籍していないということを証明する書類のことを言います。証明書の住所に住民票がないということを証明します。
民生委員とは、民生委員法に基づいて、厚生労働大臣からの委嘱を受けて活動を行っているボランティアの組織で、社会奉仕の精神をもって地域の福祉向上に取り組んでいます。
活動内容としては、下記のように様々です。
休眠抵当権の抵当権者が自然人の場合に、行方不明かどうかを調査してもらうこともできます。
以下、「厚生労働省 民生委員・児童委員はどのような活動をしているのですか?」抜粋。https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/minseiiin01/qa03.html
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高齢者・障害者・児童・母子世帯など要援護者の調査・実態把握、相談支援を行ったり、各種行事への参加協力や自主的な地域福祉活動等、幅広い活動を行っています。 また、最近では、高齢者等への悪質商法被害防止の取り組みや虐待防止の取り組み、災害時に備えた要援護者マップ作りなど、地域の多様な課題にも積極的に取り組んでいます。
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受領催告書とは、債権者に対し、債務者がこれから債権を返済しますという意思表示を債権者に対して行うための書類のことです。
休眠抵当権に関しては、抵当権者が行方不明かどうかを証明するために、この受領催告書を抵当権者の該当する住所に送付し、宛先不明で郵便局から返ってきたものをそのまま証拠書類として提出します。
弁済証書とは、抵当権者に対して全ての債務を弁済(返済) したことを証明する書類のことで、債務が完済されていることを金融機関などが証明する書類のことをいいます。
抵当権解除証書、抵当権放棄証書とも言われていたりします。
まずお電話で相談希望を受付後、担当スタッフ、弁護士から折り返しいたします。
立場を明確にしていただく必要がありますので、ご連絡時、下記情報お伝えください