【不動産業者向け】不動産業界によくあるトラブルと解決方法を解説

不動産事業者の扱う業務には、不動産売買、不動産賃貸、不動産仲介などさまざまな業務がありますので、扱う業務に応じてさまざまなトラブルが発生する可能性があります。

不動産に関するトラブルは、トラブルの類型ごとに解決方法が異なっていますので、スムーズにトラブルを解決するためには、適切な解決方法を選択する必要があります。

今回は、不動産業者に向けて不動産業界によくあるトラブルとその解決方法をわかりやすく解説します。

1、不動産売買に関するトラブル


弁護士
荒川 香遥
不動産売買ではどのようなトラブルが生じるのでしょうか。以下では、不動産売買に関するよくあるトラブルの例とその解決方法を説明します。

(1)よくあるトラブルの例

不動産事業者が不動産売買に関与するのは、不動産の売主として関与するケースと不動産売買の仲介業者として関与するケースの2つのケースがあります。それぞれのケースでは、以下のようなトラブルが生じることがあります。

①不動産の売主として不動産売買に関与するケース
・土地の地下埋設物に関するトラブル
・建物の瑕疵(雨漏り、外壁のひび割れ、家の傾き、シロアリ被害など)に関するトラブル
・設備(エアコン、給湯器など)の故障に関するトラブル
・契約解除に伴う違約金に関するトラブル
②不動産売買の仲介業者として関与するケース
・仲介手数料に関するトラブル
・重要事項説明に関するトラブル
・媒介の種類(専属専任媒介契約、一般媒介契約)に関するトラブル
・預り金や申込証拠金の返還に関するトラブル

(2)トラブルの解決方法

不動産売買に関するトラブルの多くは、事前の説明不足が原因となって生じることが多いです。たとえば、不動産の売主として不動産に関与するケースであれば、事前に土地の測量を済ませておけば、境界に関するトラブルを防ぐことができますし、重要事項説明書などで土地や建物の瑕疵についてしっかりと説明しておけば、買主とのトラブルも防ぐことができます。

そのため、まずは、契約時の書類などを見直して、トラブルが生じないような内容に変更していくことが大切です。トラブルを回避するには、法的観点からの検討も必要になりますので、弁護士に相談しながらしっかりと対策していくようにしましょう。

2、不動産賃貸に関するトラブル


弁護士
荒川 香遥
不動産賃貸ではどのようなトラブルが生じるのでしょうか。以下では、不動産賃貸に関するよくあるトラブルの例とその解決方法を説明します。

(1)よくあるトラブルの例

不動産賃貸業を営む不動産業者では、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。

(2)トラブルの解決方法

不動産賃貸は、継続的な契約になりますので、不動産賃貸に関するトラブルは、契約時ではなく、契約中や契約終了時に生じることが多いです。このようなトラブルも、賃貸借契約書の内容をトラブルを未然に回避できる内容に見直すことで予防できる可能性があります。

また、管理する賃貸物件で賃貸人同士のトラブルが生じた場合には、管理会社として適切に対応しなければ、不動産オーナーや住民から不信感を抱かれてしまい、入居者の減少につながるリスクもあります。

不動産賃貸トラブルの中には不動産事業者だけでは対応が難しいものもありますので、自社では対応が困難だというときは、早めに弁護士に相談して対応してもらうとよいでしょう。

3、不動産の立ち退き・明け渡しに関するトラブル


弁護士
荒川 香遥
不動産の立ち退き・明け渡しではどのようなトラブルが生じるのでしょうか。以下では、不動産の立ち退き・明け渡しに関するよくあるトラブルの例とその解決方法を説明します。

(1)よくあるトラブルの例

不動産の立ち退き・明け渡しに関しては、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。

(2)トラブルの解決方法

賃借人に契約違反があり、それにより信頼関係が破壊されたと評価できる場合には、賃貸借契約を解除することができます。賃貸借契約を解除すれば、賃借人は土地または建物を利用する正当な権利を有していませんので、不動産業者(賃貸人)としては、賃借人に対して、土地または建物の立ち退き・明け渡しを請求することができます。

賃借人が任意に立ち退き・明け渡しに応じてくれない場合には、以下のような方法で、土地または建物の立ち退き・明け渡しを実現することができます。
・内容証明郵便による契約の解除および立ち退き、明け渡し請求
・占有移転禁止の仮処分
・土地または建物の明渡請求訴訟
・強制執行

なお、民法では、自力救済が禁止されていますので、賃借人が行方不明になったからといって、勝手に建物内に立ち入って、残置物を処分することはできません。このような行為に及んでしまうと、賃借人から損害賠償請求を受けたり、刑事罰に問われる可能性もありますので注意が必要です。

4、不動産の賃料回収に関するトラブル


弁護士
荒川 香遥
不動産の賃料回収ではどのようなトラブルが生じるのでしょうか。以下では、不動産の賃料回収に関するよくあるトラブルの例とその解決方法を説明します。

(1)よくあるトラブルの例

不動産の賃料回収に関しては、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
・賃料未払いの状態が続いている
・未払い賃料の支払いを催促しても応じてくれない
・法的措置をとりたいが何から手を付けていいかわからない

(2)トラブルの解決方法

賃借人による賃料不払いは賃貸借契約上の債務不履行にあたりますので、長期間の賃料不払いにより信頼関係が破壊されたといえるときは賃貸借契約を解除することができます。この場合には、以下のような方法で賃貸物件の明け渡しとともに未払い賃料の支払いも求めることができます。

賃借人が賃料を滞納している場合には、裁判をしたとしても、未払い賃料全額を回収するのは困難なケースが多いです。そのため、このような事態を防ぐには、賃貸借契約時に保証人を要求するなどの対応が必要になります。

5、不動産トラブルを弁護士に相談するメリット


弁護士
荒川 香遥
不動産に関するトラブルを弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

(1)最適な解決方法を提案してくれる

不動産に関するトラブルは、不動産業者が扱う業務内容によってさまざまなトラブルがあります。トラブル内容によって解決方法も異なってきますので、迅速かつ適切にトラブルを解決するには最適な解決方法を選択することが重要です。

不動産トラブルに強い弁護士であれば、不動産トラブルの類型ごとに必要となる対応を熟知していますので、最適な解決方法を提案してくれるでしょう。

(2)トラブル対応を任せることができる

不動産に関するトラブルが発生したとしても、不動産業者はトラブル対応の専門家ではありませんので、対応の誤りによって、より深刻なトラブルに発展させてしまうリスクがあります。また、不動産業者の限られたリソースをトラブル対応に割かなければならないのも大きな負担となるでしょう。

不動産業者で対応が難しいトラブルに関しては、弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士であれば、不動産業者に代わってトラブル対応の窓口になることができますので、負担を大幅に軽減することができます。不動産トラブルに強い弁護士であれば、複雑なトラブルであっても、適切に解決に導いてくれるでしょう。

(3)法的手段により解決可能

トラブル相手との話し合いで解決できない問題は、裁判などの法的手段により解決する必要があります。

ただし、不動産関係のトラブルは、扱う金額も大きくなりますので、仮差押えや仮処分といった訴訟提起前の仮処分の手続きが必要になるケースも多いです。また、訴訟により勝訴判決が確定したとしても任意に義務の履行がないときは、強制執行の手続きも必要になります。

このような一連の法的手続きに対応するには、不動産事業者だけでは困難ですので、専門家である弁護士のサポートが必要になります。初動対応が遅れると解決が難しくなることもありますので、不動産トラブルに直面したときは、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

6、まとめ


弁護士
荒川 香遥
当事務所までお気軽にご相談ください。

不動産業者は、土地や建物といった高額な物を取り扱いますので、トラブルが生じたときの損害も高額になる傾向があります。対応が遅れれば遅れるほど、損害額が拡大し、解決が困難になっていきますので、不動産トラブルが生じたときは、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

ダーウィン法律事務所では、不動産業界に特化したサービスを提供し、不動産事業者のさまざまなお困りごとやトラブルに対応しています。不動産法務に強い顧問弁護士をお探しの方は、まずはダーウィン法律事務所までご相談ください。