共有持分を売却する際に買取業者を利用するメリットとデメリットを弁護士が解説

不動産の共有状態を解消する方法の1つに共有持分を売却するという方法があります。しかし、共有持分のみでは完全な所有権とは異なり、不動産の自由な利用や処分ができませんので、一般の買い手を見つけることが難しいケースが多いです。

そのような場合には、共有持分の買取業者を利用してみるのも有効な手段です。共有持分の買い取りを専門にしている業者であれば、一般の買い手を見つけることが難しい共有持分でも売却できる可能性があります。

今回は、共有持分を売却する際に共有持分の買取業者を利用するメリットとデメリットについて解説します。

1、共有持分の買取業者とは

共有持分の買取業者とは、どのような業者なのでしょうか。また、共有持分の買取業者と不動産仲介業者ではどのような違いがあるのでしょうか。

(1)共有持分買取業者とは

共有持分買取業者とは、共有持分の買い取りを専門に行っている不動産業者です。

共有持分の売却をしようとしても、共有持分だけでは、不動産を自由に活用することができず、他の共有者とのトラブルが生じる可能性もありますので、一般の個人や不動産業者では買い取りには応じてくれません。

しかし、共有持分の買取業者は、共有持分の買い取りおよび売却に関する専門的なノウハウを有していますので、一般の個人や不動産業者では買い取りに応じてくれないような共有持分でも買い取ってくれます。

(2)共有持分買取業者と不動産仲介業者との違い

共有持分の売却を共有持分買取業者に依頼した場合には、共有者が売主、共有持分買取業者が買主となって取引が進められます。

他方、不動産仲介業者に依頼した場合には、共有者が売主になる点は同じですが、買主は、不動産仲介業者が探してきた第三者になります。不動産仲介業者は、共有持分の査定、売却のための広告掲載、買主との交渉などさまざまな売却活動を行ってくれますが、直接持分の買い取りに応じていないという点で共有持分の買取業者とは異なります。

不動産仲介業者に依頼した方が、共有持分を高く売却できるかもしれませんが、すぐに買い手が見つからず売却までの期間が長引くなどのデメリットもあります。どちらの業者を利用するかは、後述する共有持分の買取業者を利用するメリットおよびデメリットを踏まえて検討するとよいでしょう。

2、共有持分の買取業者を利用するメリット・デメリット

共有持分の買取業者を利用するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく説明します。

(1)買取業者を利用するメリット

共有持分の買取業者を利用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①共有持分をすぐに売却できる

共有持分は、完全な所有権とは異なり、自由な利用・処分が制限されていますので、売却しようと思っても簡単には売却できません。不動産仲介業者に依頼したとしても、買い手が見つからず、長期間売却できない状態が続くのも珍しくありません。

しかし、共有持分の買取業者であれば、業者の提示する査定額に納得できればすぐに売却が可能ですので、短期間で共有持分を売却することが可能です。すぐに共有持分を現金化したいという場合には、共有持分の買取業者を利用した方がよいでしょう。

②共有持分を売却しようとしていることが知られない

不動産仲介業者に共有持分の売却を依頼した場合には、買い手を探すために一般の方向けて広告を掲載することになります。近隣住民が広告を見れば共有持分を売却しようとしているのがわかってしまいますし、他の共有者にも共有持分の売却をしようとしていることが知られてしまう可能性があります。

周囲の人に知られずに共有持分の売却を進めたいという場合には、共有持分の買取業者の利用がおすすめです。

③仲介手数料がかからない

不動産仲介業者に依頼した場合には、共有持分の売却をした際には、不動産仲介業者に仲介手数料の支払いをしなければなりません。たとえば、共有持分を1000万円で売却した場合、「1000万円×3%+6万円=36万円」もの仲介手数料を支払わなければなりません。

共有持分の買取業者であれば仲介手数料の支払いが不要ですので、無駄な出費を少なくすることができます。

(2)買取業者を利用するデメリット

共有持分の買取業者を利用するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①買取価格が相場よりも低くなる

共有持分の買取業者は、共有持分を安く買い取り、高く売却することによって利益を得ています。そのため、すぐに共有持分の買取に応じてくれる反面、共有持分の買取業者から提示される買い取り金額は、相場よりも低い金額になることが多いです。

②他の共有者との間でトラブルになる可能性がある

共有持分の買取業者が買い取った共有持分は、そのままでは利用価値がほとんどありません。そこで、買取業者は、他の共有者に対して同様に安い価格で共有持分の買い取りを持ちかけて、完全な所有権にしたうえで、不動産の売却を行います。

他の共有者が共有持分の買い取りに応じてくれないときは、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起して、共有不動産の売却を迫ってきます。

このような事態になれば、それまで平穏な関係であった共有者同士の関係が、共有持分の買取業者が現れたことで一変してしまい、共有者間でトラブルが生じる可能性があります。

3、共有持分の買取業者選びのポイント

共有持分の買取業者に依頼をしようとしても「どの業者を選べばよいかわからない」という方も少なくありません。共有持分の買取業者を選ぶ際には、以下のポイントを踏まえて検討してみましょう。

(1)共有持分の買取実績が豊富

共有持分の買い取りは、一般的な不動産の買い取りに比べて、専門性の高い分野になりますので、知識や経験がなければ適切に対応することが難しいといえます。

実績の少ない買取業者では、イレギュラーな事態にはうまく対応できず、トラブルになることも予想されます。そのため、共有持分の買取業者を選ぶ際には、ホームページなどで買取実績を公表しているところを選ぶなど、買取実績が豊富な業者を選択することが重要です。

(2)複数の買取業者から査定をとる

共有持分の買取業者が提示する買取価格は、相場よりも低い金額になることが多いです。それでもより高額な金額で買い取ってもらうためには、複数の買取業者から査定をとることが大切です。複数の買取業者に査定を依頼し、最も高額な買い取り金額を提示してくれた業者に依頼することで、相場との開きを少なくすることが可能です。

(3)対応が丁寧かつ誠実

共有持分の売却は、高額な取引になりますので、安心できる業者に依頼したいと考えるのが通常です。複数の業者のうちどの業者に依頼すればよいか迷ったときは、対応が丁寧で誠実な業者を選ぶべきです。疑問があれば何でも答えてくれる、不利な事実も隠さず伝えてくれるなどの対応をしてくれる業者であれば安心して任せることができるでしょう。

4、共有持分をより高く売るための対策とは?

共有持分をより高く売るためにも、以下のような対策を検討してみましょう。

(1)他の共有者と一緒に共有持分を売却する

共有持分のみの売却に比べて、共有不動産全体を一括で売却することができれば、より多くのお金を得ることができます。一般的に、共有持分のみの売却だと相場の2分の1の金額になることが多いため、共有不動産全体を売却できれば2倍の利益を得ることができます。

そのため、共有持分の売却をお考えの際には、他の共有者にも連絡して、一緒に共有持分の売却をすることを持ちかけてみるとよいでしょう。

(2)共有持分の買取相場を調べる

共有持分を売却する際には、しっかりと買取相場を調べてから売却することが大切です。何も知らずに業者の言い値で売却をしてしまうと、相場よりも著しく低い金額になることも少なくありません。

業者としては、少しでも安く買い取り、高く売ることで利益を上げていますので、悪質な業者は、無知につけ込んで不当に低い金額での買い取りを進めてくることがあります。そのような業者に騙されないようにするためにも、ご自身で共有持分の買取相場を調べて把握しておくようにしましょう。

(3)他の共有者に持分の買い取りを打診する

共有持分の買取業者に依頼する前に、他の共有者に持分の買取を打診してみるのも有効な対策です。

共有不動産に関して利害関係を有しているのは共有者ですので、共有持分の買取業者が介入することでトラブルになるよりは自分で共有持分を買い取ってしまいたいと考える共有者もいるかもしれません。そのような共有者がいれば、相場と同程度の金額で共有持分を売却できる可能性もあります。

5、まとめ

共有持分を手放したいという場合には、共有持分の買取業者に依頼することで、すぐに共有持分を現金化することができます。しかし、共有持分の買取業者は、相場よりも低い金額での買い取りになることが多いため、焦って共有持分の売却をしてしまうと、損をしてしまう可能性もあります。

共有持分の売却を急いでいないのであれば、弁護士に依頼して、共有物分割請求を行うことで実勢価格での共有不動産の売却ができる可能性があります。少しでも高い金額で売却したいという場合には、共有不動産に関する問題に詳しい弁護士に相談することがおすすめです。

ダーウィン法律事務所では、共有不動産の取り扱いに力を入れています。共有不動産についてお悩みがある方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

荒川香遥
  • 弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士

    荒川 香遥

    ■東京弁護士会
    ■宗教法制研究会

    相続、不動産、宗教法務に深く精通しております。全国的にも珍しい公正証書遺言の無効判決を獲得するなど、相続案件について豊富な経験を有しております。また、自身も僧籍を有し、宗教法人法務にも精通しておりますので、相続の周辺業務であるお墓に関する問題も専門的に対応可能です。

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