共有不動産の分割後に欠陥が発見された!共有者の担保責任とは

共有不動産を分割した後、目的物に欠陥が発見されるケースが少なくありません。
共有物の欠陥についてのリスクは、誰がどのようなかたちで負担するのでしょうか?

共有不動産の分割後に欠陥が発見された場合、各共有者が持分に応じて担保責任を負うことが民法で定められています。これを共有物分割における担保責任といいます。

今回は、共有物分割における担保責任について、弁護士がわかりやすく解説します。共有不動産を分割したら欠陥が発覚した場合やトラブルになってしまった場合、ぜひ参考にしてみてください。

1.共有者の担保責任とは

共有不動産がある場合、共有者は基本的にいつでも共有物分割請求ができます。
しかし分割後の不動産に欠陥が認められる場合があります。たとえば建物において雨漏りしたり、地中に埋設物が埋まっていたり土壌汚染されたりしている場合などもあるでしょう。

民法上、共有物分割後に欠陥が見つかった場合には各共有者が「共有持分に応じて担保の責任を負う」と規定されています(民法261条)。

民法261条(分割における共有者の担保責任)
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。

「売主と同じく」とあるので、共有者の担保責任は、売買取引における売主と似たものと理解されています。

そこで以下ではまず、売買契約の売主にどのような責任が発生するのかみてみましょう。

2.売主の担保責任(契約不適合責任)とは

民法では、売買契約の売主に以下のような責任が認められます。

2-1.他人の所有物を売却した場合

売主が売却したものが売買の時点で第三者のものであった場合、売主は責任を負います。基本的には所有者から対象物の権利を取得して買主に引き渡さねばなりません。
できなければ買主から契約を解除されたり、損害賠償請求されたりする可能性があります。

2-2.数量不足の場合

売却した不動産などの対象物の数量が不足している場合の担保責任です。
たとえば400平方メートルという前提で土地取引が行われても、実際には380平方メートルしかなかった場合などが該当します。
この場合、買主は売主に対し、契約不適合責任として代金減額請求をしたり契約を解除したり不足分について損害賠償請求したりできます。

2-3.契約時に目的物の一部や全部が滅失していた

契約当時、すでに目的物の一部や全部が滅失してしまっているケースもあります。
たとえば契約直前に取引対象となった建物の一部が火事で焼けてしまった場合などが該当します。
この場合、買主は売主へ滅失分について代金減額請求をしたり契約を解除したり損害賠償請求したりできる可能性があります。

2-4.目的物に欠陥がある

契約の目的物に欠陥がある場合にも売主は責任を負います。
この場合の欠陥(瑕疵「かし」)とは、物が通常有すべき品質を備えていないことを意味します。目的物に欠陥があると、買主は売主に対して以下のような請求ができます。

●追完請求
欠陥のない、完全なものの引き渡しを求めることができます。たとえば欠陥の修理を要求する場合などです。
●代金減額請求
欠陥のために価値が低下した分、代金減額請求を請求できます。
●解除
売買の目的物に欠陥がると、買主は売主に対して契約の解除も主張できます。
●損害賠償請求
買主が被った損害について、売主に対して損害賠償請求も可能です。

以上のように売買契約の売主が買主に対して負う責任を「契約不適合責任」といいます。

3.共有物分割と担保責任

民法261条は、共有物分割においても各共有者に「売主と同様の担保責任」を認めています。共有物分割が行われて欠陥が見つかったとき、物件を取得した人が保護されなければ安心して共有物分割請求ができないためです。

また共有物分割は、自分の共有持分を交換したりお金で取引したりする点で、「交換契約」「売買契約」と性質が似ています。具体的には共有不動産を現物分割する場合には「交換契約」、代償分割する場合には「売買契約」と似た状況になります。
よって民法は、売買契約における売主の契約不適合責任を、共有物分者にも負担させているのです。

3-1.担保責任は共有持分割合に応じて発生する

共有物分割の場合の担保責任は、各共有者が共有持分割合に応じて負担します。
たとえば4人が物件を共有している場合で共有持分はもともと4分の1ずつだったとします。特定の共有者が物件を取得しましたが目的物に欠陥があり、400万円分の損害を被ったとしましょう。
この場合、物件を取得した共有者は他の共有者に対し、100万円ずつの損害賠償請求ができます。修補請求や代金減額請求できる可能性もあります。

3-2.判決の場合、共有物分割の解除はできない

民法261条において共有物分割における担保責任は「売主と同様」としていますが、解除についてはまったく同じにはなりません。

共有物分割が協議ではなく訴訟による判決で行われたときには、共有物分割は当事者の合意にもとづくものではないためです。判決の解除はできないので、裁判による共有物分割の際には協議によるケースと異なり解除までは認められません。

共有物分割の担保責任で追及できる内容
●協議の場合…修補請求、代金減額請求、解除、損害賠償請求ができる
●判決の場合…修補請求、代金減額請求、損害賠償請求ができる(解除はできない)

4.特約による排除は可能

民法261条により、各共有者は共有物分割後の欠陥について責任を持たねばなりません。
ただしこの規定は任意規定であり、当事者の特約によって排除できます。
たとえば共有物分割を行う前に、すべての共有者が「お互いに担保責任を負わない」とする特約を交わしていれば、原則として、各共有者は担保責任を負わずに済みます。

担保責任を免れられない場合

ただし特約があっても共有者が担保責任を負うケースがあります。

●共有者が目的物に瑕疵があると知りながら、そのことを物件の取得者に告げず責任を免除する特約を設定した
●分割前に共有者が目的物の全部や一部を共有者以外の他人に譲渡しておきながら、責任を免除する特約を設定した
●分割前に共有者が自分で目的物を制限する権利を設定したにもかかわらず、責任を免除する特約を設定した

上記のような場合、共有者を保護する必要性が低いので、契約不適合責任が免除されません。

5.共有物分割に伴う契約不適合責任の典型的なパターンについて

共有物分割後に契約不適合責任が発生する典型的なパターンとして、以下のようなケースがあります。

●土地の分割後に埋設物が見つかった
●建物の分割後に雨漏りなどの欠陥が見つかった
●共有物分割後に欠陥に気づかないまま不動産を売却し、買主からで契約不適合責任を追及された
●換価分割を行い、物件の買主から共有者全員が契約不適合責任を追及されたとき

6.共有物分割や契約不適合責任は弁護士へ相談を

共有物分割請求を行う際には、目的物の欠陥によるトラブルになる可能性があります。紛争を防ぐためには、特約によって契約不適合責任を排除するなどの対応が必要となるでしょう。どのような場合に契約不適合責任が発生するのかについても法的に専門的な判断が必要です。

不動産の共有物分割や契約不適合責任については、弁護士に相談しながら進めましょう。弁護士であれば、トラブルになったときに当事者の代理人として行動できるので、効果的に紛争を解決できる可能性があります。

ダーウィン法律事務所では共有不動産の取り扱いに力を入れております。共有不動産についてお悩みがある場合には、お気軽にご相談ください。ダーウィン法律事務所では、東京都新宿区四谷と東京都立川市にオフィスを構えております、埼玉、神奈川、千葉からのご相談も広く受け付けております。

この記事を監修した弁護士

荒川香遥
  • 弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士

    荒川 香遥

    ■東京弁護士会
    ■宗教法制研究会

    相続、不動産、宗教法務に深く精通しております。全国的にも珍しい公正証書遺言の無効判決を獲得するなど、相続案件について豊富な経験を有しております。また、自身も僧籍を有し、宗教法人法務にも精通しておりますので、相続の周辺業務であるお墓に関する問題も専門的に対応可能です。

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