E-1.休眠抵当権、休眠根抵当権の抹消手続について

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相続などで不動産を売買するときに、何十年前の抵当権や根抵当権(以下では、抵当権のみ表記いたします)が設定されていることがあります。例えば、明示や大正時代の場合に設定された抵当権の場合には、債権額が数十円とするものも珍しくありません。このような抵当権は、先代や先々代の時に設定されたものですので、子孫である相続人としては、抵当権者が誰であるか知らないこともあるし、連絡を取りようにも連絡先がわからないケースがあります。このような、昔の抵当権を休眠抵当権、休眠担保権といったりします。ここでは、これらの権利を削除する方法をご説明いたします。

1 休眠抵当権が残っているわけ

抵当権は、ひらたく言えば借金の担保に土地を差し入れるものですが、借金を返済してしまえば、この担保も外す(削除する)ことが一般的です。もっとも、当事者としては借金のやりとりにこそ関心があって、お金さえきちんと払ってしまえば(返済してもらえれば)面倒な登記手続が行われないまま時間が経過してしまうことがあります。このような経緯で抵当権が残っていることが多いと言われています。
一方で、抵当権は借金の担保ですが、借金が返済されなかったにも関わらず、差押えなどの手続も面倒と考えたのか、そのまま借金を放置してしまった場面も想定されます。
いずれの場面でも、前者は法的な完済として抵当権削除を求めたいこととなりますし、後者は、借金は時効によって消滅したんだから抵当権も消滅させたいと求めることとなります。

2 具体的な手続について

多くの場合には、土地の所有者から休眠抵当権者に対しては、連絡がとれないことも多いです。登記関係は、原則「共同申請」となりますから、土地所有者と抵当権者とが一緒に削除を求めることになりますので、必要な書類がなければ、土地の所有者が単独で抵当権を削除することもできません。
そこで、不動産登記法では、単独申請の特例として、下記を定めています。

・抵当権が抵当権者の死亡により消滅した時(69条)
・登記義務者の所在不明により登記の抹消の共同申請ができない場合に、公示催告の申立てをしたうえで除権決定を得たとき(70条1項2項)
・登記義務者の所在不明により登記の抹消の共同申請ができない場合に、「債権証書」及び「債権並びに最後の2年分の定期金の受取証書」があるとき(70条3項前段)
・登記義務者の所在不明により登記抹消の共同申請ができない場合に、債権の弁済期より2・0年を経過し、かつその期間の経過した後、債権、利息及び債務の不履行により生じた損害の全額に相当する金銭の供託をしたとき(70条3項後段)

3 裁判手続について

前項の手続では、解決できない場合には、土地所有者が抵当権者の法定相続人を相手方として、抵当権の抹消登記手続を求めるための裁判を起こす必要があります。

4 抹消までに要する時間

不動産登記法上の単独申請の特例で行うとしても、まずは対象者の戸籍謄本等の調査を行う必要がありますが、明治時代の抵当権の場合には、相続が1度だけでなく、2度、3度繰り返されていることが一般的で、その分、利害関係者(法定相続人)も増えており、戸籍謄本の調査だけで数ヶ月から半年かかる事もあります。
その後、裁判となる場合には、さらに半年程度時間を要することが一般的です。

5 まとめ

休眠担保権を削除するためには、不動産登記法の特例の制度や場合によっては裁判手続も必要となります。不動産売買契約を円滑に進めるためには、休眠担保権にお悩みの場合にはお気軽にご相談ください。

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