D-3.マンションの内部自治と手続について

法律相談カテゴリー
該当する業者タイプ
マンション管理組合 

大型のマンションでは数百世帯もの利害関係者が共同で生活を行います。そして、共同で快適な生活を維持するために、共同のルールを定める事になりますが、これを管理規約といい、さらに細かい点は使用細則という形で定めることが一般的です。また、何かルールの変更や大規模修繕を行うためには、集会を開き、役員会の決議が必要となったりします。言うなれば、マンションは、一つの「街」として自治管理を行うことが求められます。
そのため、管理を行うために、どのような管理規約や使用細則が許されるのか、集会手続に不備が有る場合にはどうなるなのかといった、点を以下ご説明いたします。なお、以下では、建物の区分所有等に関する法律を単に区分所有法と表現します。

1 規約の変更や拘束力について

(1) 管理規約とは

管理規約は、区分所有者の意思によって定められて(区分所有法3条)、マンションのルールの基礎となります。一度定められた規約の変更や廃止には、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数の決議によって行われます(区分所有法31条1項)。この頭数や議決権の決議要件は規約をもっても変更することはできません。

(2) 管理規約の拘束力が及び対象とは

規約は、「建物またはその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」(区分所有法30条1項)について定めることができます。
そのため、建物に附属されたマンション住人のために作られた駐車場について、近年の利用者減少に伴い、外部に月極駐車場として賃貸にだすことの管理行為や、「ペット」「楽器」「民泊」といった利用に関する事柄も管理規約にて定めることが可能です。

もっとも、規約自体は決議要件が整ってしまえば整備されることにはなりますが、一方で、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その者の承諾を得ることが必要とされています(区分所有法31条1項後段)。そして、特別の影響とは、「規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受任すべき限度を超えると認められる場合をいう」(最判平成10年10月30日判タ991号288頁)と判断しています。

例えば、収益物件として賃貸に出している区分所有者が組合活動に何ら協力的ではない場合に、協力しないことを理由として管理協力費として金銭の負担を強いることは、慎重に検討する必要があります。
また、町内会費を含めて管理費を徴収していたところ、町内会費については建物運営とは関係の無い支出であると認定した裁判例もあります(最判平成17年4月26日判タ1182号160頁、東京簡裁平成19年8月7日)。

2 集会手続と不備について

(1)集会手続

規約の設定・変更等は集会の決議によって行われます。これを集会中心主義といいますが、区分所有者法には、決議に先立って、招集手続、招集通知の内容と方法、及び決議事項が定められています。

(2) 招集に関して

集会を招集するのは、管理者とされており、管理者が理事長なら、理事長が招集することとなります。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対して、会議の議題を示して集会の招集ができます(区分所有法34条3項)。

招集通知に関しては、区分所有者が管理者に対して通知を受ける場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分の所在する場所に通知すれば足りるとされており(区分所有者法35条3項)、到達までは要求されておらず、発送すれば足ります。
さらに、規約で定めれば、マンション内に住所を有する区分所有者又は通知を受け取る場所を通知しない区分所有者に対する招集通知は、マンション内の見やすい場所に掲示することで通知の効力が生じることとされています(区分所有者法35条4項)。

(3) 通知事項について

集会の招集通知については会議の目的たるを示すことが必要です。これは、検討の時間を要するため事前に通知した事項のみが決議事項となりますが、流動的な会議を確保するため、規約で定めることで特別決議事項を除いて追加議題も決議できることとなっています(区分所有法37条2項)。

(4)手続に不備が有る場合

このように法律や規約によって招集方法が定められていますが、このような招集手続に不備があった場合に、不備=決議も無効となるのではなく、重大な瑕疵がある場合に限り無効となると判断されています(東京地判昭和63年11月28日判タ702号255頁)。
 

(5)決議に従わない区分所有者がいる場合について

マンションは共同生活の場である以上、区分所有者は共同の利益に反する行為をしてはならないとされています(区分所有法6条1項)。
具体的には、管理者は、共同利益背反行為の停止、結果の除去、行為要望の為の措置を当該区分所有者に対して請求することができるとされています(区分所有法57条)。それでも停止されない場合には、裁判手続でその禁止を求めていくことになりますし、共同利益背反の程度が受忍限度を超えている場合には、当該区分所有者に対して専有部分の使用禁止(区分所有法58条)、さらには区分所有権及び敷地利用権の競売請求(区分所有法59条)を認めています。

3 理事長(管理者)の責任について

管理組合の理事長は「管理者」となりますので、管理組合に対して善管注意義務を負います(民法644条)。注意が必要なのは、区分所有者は管理組合を通じた権利行使となるので、一般的な感覚はさておき、法的には理事長たる管理者は個別の区分所有者に対して善管注意義務は負いません。
そのため、例えば、理事長が組合費を私的流用した場合、区分所有者が自己の持ち分に基づいて直接理事長に対して損害賠償請求を行うことはできず、管理組合から理事長に対して賠償請求を行う必要があります。通常、管理組合を代表するのは理事長ですが、理事長自身の不正行為ですので、このように理事長の責任が利益相反する場合には、集会にて理事長を解任した上で、新理事長から賠償請求を行うこととなります。

4 まとめ

マンション管理の手続について概略を説明いたしました。
マンション管理でのトラブルについては弊所までお気軽にご相談ください。

D.マンション管理に関連する相談事例/トラブル一覧