賃貸物件のオーナーにとって、賃料増額請求は重要なトピックの一つです。賃借人が賃料増額に応じてくれればよいですが、賃料増額を拒否する態度を示したときは、話し合いでの解決が困難であるため、賃料増額請求訴訟などを検討しなければなりません。
しかし、実際に訴訟に発展した場合、「訴額はどのように決まるのか?」「裁判費用をできるだけ抑えるにはどうすればいいのか?」といった疑問を抱える方も多いと思います。そのような不安を解消するには、賃料増額請求でどのような費用がかかるのかを把握しておくとよいでしょう。
今回は、賃料増額請求における訴額の算定方法と費用を抑えるためのポイントについて、不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次

訴額とは、裁判において争われている権利や請求の金銭的価値を示す金額をいいます。これは裁判所の管轄(地方裁判所or簡易裁判所)を決める要素であるとともに、裁判費用(印紙代)の算定基準としても用いられるものになります。
土地や建物の価格上昇、税金の増額、周辺の賃料相場との比較などによって、現在の賃料が不相当になった場合、賃貸人は、賃借人に対して賃料の増額を求めることができます。
賃料増額請求は、まずは当事者同士の話し合いにより金額を決めていくことになりますが、話し合いがまとまらないときは、調停・訴訟などの法的手続きが必要になります。
賃料増額請求訴訟を提起する際には、訴額に応じた手数料を納める必要がありますので、どの程度の費用がかかるのかをあらかじめ把握しておけば安心でしょう。
賃料増額請求訴訟における訴額は、以下の計算式によって算出するのが一般的です。
増額後の賃料と増額前の賃料の差額×(賃料増額の意思表示から訴訟提起までの月数+12か月)
これは、賃料増額請求の訴訟物が口頭弁論終結時までの賃料であるという裁判例(大阪高裁昭和49年12月16日)や民事事件の一審の平均審理期間が約12か月であるという統計資料などを根拠とした考え方になります。

参照:手数料額早見表|裁判所
ただし、上記の計算式により算出した訴額よりも目的物の価額の2分の1の額の方が低額であることを疎明すれば、この額を訴額にすることもできます。

賃料の増額に関する争いに関しては、訴訟よりも先に調停を行わなければなりません。これを「調停前置主義」といいます。
賃料増額調停を申し立てる場合も訴訟と同様に訴額に応じた手数料の納付が必要になります。訴額の計算方法は、上記と同様ですが手数料は、訴訟の半分とされている点に注意が必要です。
たとえば、訴額80万円の事件であれば、訴訟の場合の手数料が8000円とされていましたが、調停の場合は4000円になります。
賃料増額請求をする際には、適正な賃料を把握するために賃借人が不動産鑑定士などに依頼して私的鑑定を実施することがあります。
私的鑑定費用は、依頼内容や物件の規模によって変動しますが、概ね20~50万円程度が一般的です。
賃料増額請求訴訟では、最終的に裁判所が判決により適正な賃料を決定しますが、その際の判断資料として不動産鑑定士による鑑定が行われるのが一般的です。
不動産鑑定士による鑑定費用は、鑑定を申し出た当事者(通常は原告)が予納することになりますが、最終的な負担者については、判決または和解の中で決められます。
裁判での鑑定費用も概ね20~50万円程度が目安になります。
賃料増額請求に関する事案を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用の支払いが必要になります。弁護士費用には、主に以下の項目があります。
法律相談料とは、弁護士に法律相談をする際に発生する費用です。
一般的な相場としては、1時間あたり1万1000円(税込)ですが、初回相談料を無料としている法律事務所もあります。
着手金とは、弁護士に正式に事件の依頼をしたときに発生する費用です。
着手金の金額は、賃料額や事案の難易度、依頼する弁護士事務所によって異なりますが、20~50万円程度が一般的です。
報酬金とは、弁護士に依頼した事件が解決した場合に発生する費用です。賃料増額請求事件であれば、賃料の増額が認められた場合に発生します。
報酬金の金額は、増額分に対して一定割合で計算されることが多く、得られた金額が大きいほど報酬額も増加します。
実費とは、裁判所への郵送費、交通費、印紙代、謄写料などの事件処理に必要になる費用のことをいいます。一般的には数千円~数万円程度がかかります。

賃料増額請求にかかる費用をもっとも抑えることができる方法は、当事者間の話し合いで解決するという方法です。賃借人との交渉がスムーズに進めば、裁判や調停にかかる費用や時間をすべて省略できます。
賃借人との交渉では、賃料の増額理由(周辺相場や物件の改修内容など)を客観的資料に基づいて説明し、誠実に対応することが円満解決のカギとなります。
賃料増額に関する話し合いがまとまらないときは、最終的に訴訟で解決することになりますが、前提として調停の申立て必要になります。
調停も基本的には話し合いによる解決手段になりますが、お互いに譲歩して納得できれば、訴訟にまで発展せずに調停で解決できる可能性があります。そうすれば、訴訟に比べて安い手数料で済み、鑑定費用や弁護士費用などの高額な支出を回避できる可能性があります。
賃料の金額を一切譲らないという態度では調停はまとまらないため、賃借人側の事情も考慮した上で柔軟な姿勢で調停に臨むようにしましょう。
弁護士費用は一見高額に感じられるかもしれませんが、賃料増額請求に精通した弁護士に依頼することで、無駄な手続きや費用の回避、的確な戦略の立案が期待できます。
結果として、トラブルの長期化や不要な鑑定の発生を防ぎ、総費用の削減につながる場合もあります。
少しでも費用を抑えたいというときは、初回の法律相談を利用して、費用感や進め方を確認するのがおすすめです。

賃料の増額は、法律上正当な理由が必要であり、相手との関係性や契約内容、不動産市況など、複雑な要素が絡みます。適切な手順を踏まずに請求してしまうと、無効とされるおそれや、かえってトラブルを深刻化させるリスクもあります。
そのため、賃料増額を検討している段階から、不動産問題に詳しい弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

特に、裁判に発展する可能性があるケースでは、早めに弁護士に相談することで、時間・労力・費用の大幅な削減につながります。
初回相談を無料で提供している法律事務所も多いため、「相談だけでもしておけばよかった」と後悔する前に、まずは専門家に話を聞いてみましょう。
賃料増額請求に関するトラブルを調停や訴訟で解決するには、訴額に応じた手数料を納めなければなりません。また、手数料以外にも鑑定費用や弁護士費用などの費用が発生しますので、事前に必要となる費用を把握しておくとよいでしょう。
それには、不動産問題に詳しい弁護士に相談する必要がありますので、賃料増額請求をお考えの方は、ダーウィン法律事務所までお気軽にご相談ください。
まずご依頼の流れ(必読)をご確認いただき、お電話で相談希望を受付後、担当スタッフ、弁護士から折り返しいたします。
立場を明確にしていただく必要がありますので、ご連絡時、下記情報お伝えください