近年の物価上昇に伴い、家賃の値上げを検討しているオーナーの方もいると思います。
現状の家賃が不相当な金額であれば、法律上、賃料増額請求権が認められていますので、賃貸人は、賃借人に対して、賃料の増額を求めることができます。
賃料の増額を求める際に利用されるのが「賃料増額請求の通知書」です。
賃借人との間でトラブルが生じないようにするためにも、ポイントを押さえた通知書を作成することが大切です。
今回は、賃料増額請求の通知書の作成方法と作成時の注意点を不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次

賃料増額請求の通知書とは、賃貸人が賃借人に対して、賃料増額の意思表示を行うために利用する通知書です。

賃料増額請求は、賃貸人から賃借人への一方的な意思表示により行うことができますので、法律上は、口頭での意思表示でも足ります。
しかし、口頭での意思表示だけでは、賃料増額請求をした証拠が残りませんので、実務では、配達証明付きの内容証明郵便が利用されています。
これが「賃料増額請求の通知書」です。

文書の冒頭にどのような内容の文書であるのかがわかるように表題を記載します。
賃料増額請求の通知書であれば「賃料増額請求書」などと記載するのが一般的です。
通知書を作成した日付を記載します。
誰が誰に対して請求しているのかがわかるように契約当事者(賃貸人と賃借人)の氏名、住所を記載します。
賃料の増額を求めるのがどの物件であるのかを特定するために賃貸物件に関する情報を記載します。
正確に物件を特定するために土地または建物の登記事項証明書に基づいて以下の事項を記載するようにしましょう。
【土地】
・所在
・地番
・地目
・地積
【建物】
・所在
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積
賃料増額請求権は、賃貸人から賃借人に対する意思表示が到達することにより、賃料の増額という効果が発生します。
そのため、賃料増額請求には、賃料増額の意思表示が必須となります。
具体的には、「賃料を月額○○万円に増額させていただきますのでご了承ください」などと記載するとよいでしょう。
賃料増額請求は、賃貸人から賃借人に対する一方的な意思表示により行うことができます。
しかし、賃借人としては、賃料が増えると経済的負担も大きくなるため、いきなり賃料の増額を求められても、すぐには納得できないはずです。
賃借人に賃料を増額しなければならない事情を理解してもらうためにも、賃料増額の必要性、増額後の金額の妥当性などを客観的な根拠を示しながら説明するようにしましょう。
増額後の賃料がいくらになるのかを記載します。
増額後の賃料がいつから適用されるのかを記載します。この記載がなければ賃借人はいつから増額後の賃料を支払えばよいのかがわかりませんので、忘れずに記載しましょう。

| 賃料増額請求書
令和○年○月〇日
〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○○○様
〒○○○-○○○○ ○○県○○市○丁目○番○号 ○○○○(名前)
私は、平成○年○月○日から貴殿に対し、後記記載の土地を賃料月額○○万円で賃貸しています。 しかしながら、当初の賃貸借契約締結から○年以上が経過し、経済情勢も大きく変わってきています。土地価格の高騰に伴う固定資産税の増加や物価上昇に伴う維持管理費用の増加により、現在の賃料では著しく不相当なものとなっております。 つきましては、令和○年○月から賃料を月額○○万円に増額させていただきますので、ご承知おきください。
記 所在 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 地番 ○番○ 地目 ○○ 地積 ○○.○○平方メートル |

賃料増額請求をされた賃借人にも考える時間が必要ですので、賃料の増額を予定している場合には、早めに通知書を賃借人に送るようにしましょう。
通知書を送付した翌月から賃料が増額になるというのでは、賃借人にとってあまりに酷ですので、少なくとも数か月程度の猶予は与えるべきでしょう。
賃料増額に反対する賃借人もいるかもしれませんので、通知書の送付後、じっくりと交渉をするためにも、ある程度の猶予期間は必要です。
特に理由を説明することなく、一方的に賃料の増額を求められたのでは、賃借人も困惑してしまいます。
賃借人に賃料増額の必要性を理解してもらうためにも、賃料増額の正当性を裏付ける根拠を示すことが重要です。
たとえば、近傍類似の土地の地代相場の資料を添付する、固定資産税や維持管理費用の増加がわかる資料を添付するなどの対応を検討してみましょう。
賃借人との交渉で賃料の増額に関する合意がまとまったときは、合意書の作成を行います。
法律上は、当事者間の合意により契約が成立しますので、基本的には書面を作成する必要はありません。
しかし、口頭での合意だけでは、合意した内容を客観的に証明する証拠が残りませんので、必ず合意書を作成するようにしてください。

賃料増額請求をするには、借地借家法が定める賃料増額請求の要件を満たしている必要があります。
賃貸人としては賃料が不相当だと感じているかもしれませんが、賃料の相当性は感覚的な問題ではなく客観的に判断しなければなりません。
弁護士に相談すれば、法的観点から賃料増額請求の要件を満たしているかどうかを判断してくれますので、自信をもって賃料増額請求を行うことができます。
賃料増額請求の要件を満たしている場合、賃借人に対して、賃料増額請求の通知書を送付することになります。
弁護士に依頼すれば、弁護士が賃料増額請求の通知書を作成し、代理人弁護士の名義で賃借人に送付することができます。

また、賃貸人個人の名義で送るよりも代理人弁護士の名義で送った方が賃借人に対して「正当な請求だ」という印象を与えることができます。
それにより賃借人との交渉もスムーズに進められる可能性が高くなるでしょう。
賃料増額請求の通知書を賃借人に送付した後は、賃借人との交渉を行わなければなりません。
素直に賃料の増額に応じてくれる賃借人ばかりではありませんので、賃料の増額に反対する賃借人がいる場合には、時間をかけてじっくりと交渉していかなければなりません。
賃借人との交渉は、不慣れな方では負担が大きいと思いますので、そのような方は弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、賃借人との交渉をすべて任せることができますので、交渉による負担を大幅に軽減することができます。
また、交渉により合意に至らなかったとしても、弁護士に依頼していればそのまま調停や訴訟にまで対応してもらうことができます。
交渉や調停・訴訟などの手続きには専門家である弁護士のサポートが必要になりますので、賃料増額請求をお考えの方は早めに弁護士に相談することをおすすめします。
賃料増額請求をする場合、配達証明付きの内容証明郵便を利用して、賃料増額請求の通知書を送付するのが一般的です。
通知書の作成や賃借人との交渉を自分だけで対応するのが負担に感じる方は、弁護士に依頼するとよいでしょう。
ダーウィン法律事務所では、賃料増額請求に関する問題を豊富に取り扱っておりますので、賃料増額請求に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。
まずご依頼の流れ(必読)をご確認いただき、お電話で相談希望を受付後、担当スタッフ、弁護士から折り返しいたします。
立場を明確にしていただく必要がありますので、ご連絡時、下記情報お伝えください