不動産投資の中でも近年注目されているのが「共有不動産投資」です。複数の投資家で一つの不動産を所有する仕組みで、少額から始められる点やリスク分散のしやすさが魅力とされています。
しかし、共有不動産投資にはメリットがある一方で、意思決定に合意が必要になることや持分の売却が難しいことなど、特有のリスクも存在します。場合によっては共有者同士でトラブルに発展し、投下資本の回収が困難になるケースも少なくありません。
今回は、共有不動産投資の基本的な仕組みから、潜在的なリスク、実際に起こりやすいトラブル事例、投資前に確認しておくべきチェックポイントなどを不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
共有不動産投資を検討している方やトラブルに直面している方は、ぜひ参考にしてください。
目次

共有不動産投資にはいくつかの形態があります。代表的なものは以下の2つです。

共有不動産投資には、従来型の不動産投資にはない以下のような魅力があります。
共有不動産投資では複数の投資家でリスクを分け合えるため、負担が軽減される点がメリットです。また、複数の物件に分散投資することも可能です。

不動産の売却や大規模な修繕など重要な意思決定を行う場合、共有者全員の同意が必要です。たとえ過半数が賛成しても、一部の共有者が反対すれば進められないことがあります。
そのため、投下資本回収のタイミングを逃すリスクがある点に注意が必要です。
不動産の「持分」を売却することは法律上可能ですが、買い手が見つかりにくいのが現実です。市場では持分だけを購入したいという需要が少なく、売却には時間がかかります。
そのため、現金化したいときにすぐに換金できないリスクがあります。
共有不動産の維持には固定資産税や修繕費が必要です。共有者の一部が費用を負担しない場合、他の共有者が立て替えざるを得ないケースもあります。
このような不公平感がトラブルの火種となる可能性がある点に注意が必要です。
投資として利益を得たい人と別荘や事務所として利用したい人が混在すると、方針がかみ合わなくなります。共有者の目的が一致していないと、将来の運用方針を決める際に対立が生じやすくなります。
共有者の一人が亡くなると、その持分は相続人に承継されます。相続人が複数いる場合、さらに権利関係が細分化され、意思決定が一層難しくなることもあります。
このように長期的な投資を前提に考えていると、相続トラブルに巻き込まれるリスクも否定できません。

共有不動産では、売却や運用の方針を決める際に共有者全員の同意が必要となる場面が多くあります。そのため、ある共有者が「利益を確定させたいから売却したい」と考えても、他の共有者が「まだ保有したい」と反対すれば、売却は進みません。
このような意見の食い違いによって話し合いが長引き、結論が出ないまま市場環境が悪化して資産価値が下がる可能性もあります。共有不動産投資を始める際には、出口戦略や意思決定のルールを事前に決めておくことが重要です。
共有不動産には固定資産税や修繕費など、定期的な支出が伴います。しかし、共有者の中には費用を負担しない人が出てくる場合があり、その場合は他の共有者が立て替えることになります。費用を巡る不公平感は関係の悪化を招きやすく、最終的に支払い請求や法的手続きに発展することも少なくありません。
また、費用の負担を避けたいがために物件の維持管理自体が滞り、不動産の価値が低下するリスクもあります。このようなトラブルを防ぐためには、事前に費用分担の取り決めをしておくことが望まれます。
共有不動産投資では、当初の計画通りに収益が上がらず、投資回収が想定より長期化することもあります。賃貸需要が低迷して空室が続けば家賃収入は減少し、修繕費などの支出が増えれば分配金も減ってしまいます。
特に、クラウドファンディング型の投資では、運営会社の見込みと実際の収益が乖離することもあり、投資家が期待したリターンを得られないケースも少なくありません。その結果、資金を他に回せなくなり、投資全体の計画に支障をきたす可能性があります。

不動産投資を行う際には、登記簿謄本を確認し、所有者の持分割合や抵当権の有無を把握することが欠かせません。
また、過去の相続で権利が細分化している物件は意思決定が難しく、トラブルの原因となりやすいです。権利関係が複雑な場合は、専門家に依頼して事前調査を行うことがリスク回避につながります。
クラウドファンディング型の共有不動産投資では、出資契約の条件が投資家の自由度を大きく左右します。特に重要なのは、契約期間中に途中解約が可能かどうか、分配金の算定方法や支払い時期が明確かどうかです。
中途解約や持分譲渡が認められていない場合、資金が長期間拘束され、流動性を失うリスクがあります。契約書を隅々まで確認し、不明点は運営会社に問い合わせるか専門家に相談することが安心につながります。
共有不動産投資では、実際の運用を担う不動産業者やクラウドファンディング会社の信頼性が非常に重要です。実績のない業者に出資してしまうと、運営がずさんで収益が安定しなかったり、最悪の場合は倒産して資金を失うリスクもあります。
そのため、業者の免許や許認可、財務状況、過去の運営実績を確認し、複数の案件を比較検討することが不可欠です。信頼できるパートナーを選ぶことが、投資成功の大前提といえるでしょう。
共有不動産投資では、投資を始める時点で「いつ」「どのように」利益を確定するのかを考えておくことが重要です。持分売却は買い手が見つかりにくいため、換金性が低い点が大きな課題となります。
そのため、あらかじめ「何年後に売却を目指すのか」「持分譲渡の相手をどう探すのか」といった出口戦略を明確にしておくことが不可欠です。これがないと共有者間の意思がまとまらず、資金回収の機会を逃してしまうリスクがあります。

共有者同士で合意できない場合に利用できる法的手段が「共有物分割請求」です。裁判所に共有物分割請求訴訟を提起することで、不動産を分割したり、売却して代金を持分割合で分配したりすることが可能になります。

訴訟に進む前に、裁判所での調停や弁護士を介した交渉で合意を目指す方法もあります。
調停では中立的な調停委員が仲介役となり、当事者の意見調整をサポートします。また、任意の話し合いで和解条件を取り決めたり、持分を買い取る形で解決したりするケースもあります。こうした方法は、訴訟よりも時間やコストを抑えられる点で有効といえるでしょう。
共有不動産のトラブルは、感情的な対立や法的に複雑な権利関係が絡むため、自力での対応は困難です。共有者が費用を負担しない、売却の同意が得られないといった問題が発生した段階で、弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士は、交渉や調停の代理だけでなく、必要に応じて訴訟の提起まで一貫して対応できます。早めに相談することで被害を最小限に抑え、投資家の利益を守ることができます。
共有不動産投資は、少額から始められリスク分散も可能な魅力的な投資手法です。しかしその一方で、売却や修繕に関する意思決定が合意できない、持分の換金が難しい、費用負担を巡って揉めやすいといった特有のリスクがあります。このような問題を放置すると、資産価値の低下や投資回収の遅れに直結しかねません。大切なのは、投資前に契約内容や権利関係を十分に確認し、出口戦略を明確にしておくことです。
それでもトラブルが発生した場合には、早期に専門家へ相談することが解決への近道です。ダーウィン法律事務所では、不動産投資や共有不動産に関する豊富な実績をもとに、交渉から訴訟まで一貫したサポートを行っています。共有不動産投資でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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