共有名義の不動産に同居者が住んでいて、「退去してほしいのに出ていかない」と悩む方は少なくありません。たとえば、離婚後も元配偶者が住み続けている、兄弟が無断で住みついているなど、状況はさまざまです。
しかし、共有名義の場合、他の共有者との関係や同居者の権利関係が複雑に絡み合うため、感情だけで動いても問題解決にはつながりません。
今回は、共有名義の不動産に住む同居者を退去させたいと考えたときに知っておくべき法的ポイントを不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
共有名義不動産の問題は、早期に法的方針を固めることが解決への近道です。ぜひ参考にしてください。
目次

共有名義とは、一つの不動産に対して複数人がそれぞれ持分割合を持ち、共同で所有している状態をいいます。
たとえば、夫婦で住宅ローンを組んで購入したマイホームは典型的です。登記簿上には、夫婦それぞれの持分(収入割合に応じた持分や各2分の1など)が記載されます。
また、親が亡くなり実家を兄弟姉妹で相続した場合も共有名義になります。
このように、共有名義は「夫婦共有」「相続による兄弟姉妹共有」が多いですが、親子共有や親族共有など形態はさまざまです。
共有不動産に住んでいる同居者が誰かによって、問題の性質と対応方法は大きく異なります。
共有者には、共有物全体を使用収益する権利があるため、原則として他の共有者が一方的に使用を禁止することはできません。ただし、単独で住み続けることについてトラブルになることもあります。
例えば、共有者の元配偶者の再婚相手や共有者の友人・知人が住んでいる場合、その第三者が正当な権限なく居座っていると不法占拠にあたる可能性があります。この場合、明渡請求や仮処分、訴訟などの法的手段が検討されます。
このように、同居者が共有者か、第三者かがまず重要な分岐点になります。
実際に弁護士に寄せられる相談としては、以下のようなパターンが多いです。
離婚後も、元夫(または元妻)が共有名義の不動産に住み続けているケースです。財産分与や使用権限が明確になっていないため、退去を求める際にトラブルになりがちです。
親が亡くなり兄弟姉妹で共有相続した実家に、兄弟の一人だけが単独で居住しているケースです。使用料も払わず居座るため、他の共有者から不満が噴出します。
親名義や親子共有名義の家に親族が同居しており、退去を求めても応じないケースです。家族間の感情的対立が激しくなる傾向があります。

共有不動産に第三者が権限なく居住しているような場合、共有者単独で不法占拠する第三者に対して明け渡し請求をすることができます。
なぜなら、不法占拠者に対する明け渡し請求は、共有物の保存行為にあたるからです。
同居者が賃借人である場合、賃貸借契約に基づく居住権(賃借権)がありますので、賃貸借契約が存続する限りは、同居者を退去させることはできません。
他方、同居者が賃借人でない場合、一般に借家人としての居住権は認められませんので、退去を求めることが可能です。しかし例外的に、以下のような事情で居住権が主張されることがあります。

同居者の権利関係を正確に把握しないまま退去を求めると、逆に損害賠償請求や関係悪化を招くおそれがありますので注意が必要です。
共有者の一人が無断で単独使用している場合、他の共有者は「使用料相当額」を請求できます。
しかし、共有者には、共有物の全部について持分に応じた使用をする権利がありますので、単独で使用しているからといって他の共有者は明け渡しを請求することはできません。
もし共有者間で共有物の使用方法についての方針が一致しない場合、弁護士を交えた協議や、最終的には共有物分割請求などで共有関係自体を解消する選択肢も検討すべきでしょう。

共有不動産に関するトラブルは、家族間や親族間の場合が多く、感情的対立を避けるためにもまずは話し合いによる合意退去が最優先です。
退去時期、引越費用の負担、共有物分割や持分買取りなどの条件を整理して協議しましょう。
話し合いで解決が難しい場合は、弁護士を通じて内容証明郵便で退去を求める意思表示を送付します。これにより、退去を求める正式な意思が記録に残り、今後の調停・訴訟においても有効な証拠となります。
当事者同士の話し合いでは退去に応じてくれない同居者であっても、弁護士から通知書が届くと素直に応じてくれるケースも少なくないため、効果的な手段といえるでしょう。
同居者が無権限で住み続けている場合には、占有移転禁止の仮処分を申立て、その後に明渡請求訴訟を提起する方法が考えられます。
なお、仮処分は、相手が第三者に占有を移転して事実上追い出せなくなることを防止するための手続きです。
共有不動産に住む同居人が共有者である場合には、明渡請求訴訟ではなく、共有物分割請求により問題の解決を図る必要があります。
共有者同士の話し合いで解決できないときは、簡易裁判所に共有物分割請求調停の申立てをし、それでも解決ができないときは最終的に裁判所に共有物分割請求訴訟を提起します。
これにより共有状態を解消することができれば、同居人との退去トラブルも解決することができるでしょう。

親族間や元配偶者との問題は、これまでの人間関係や感情が絡み合い、当事者同士では冷静に話し合えないことが多くあります。特に、離婚後や相続後の共有不動産問題では、「自分が正しい」という思いから互いに譲らず、感情的対立がエスカレートしやすい傾向があります。
弁護士は、当事者の主張を法律に基づいて整理し、冷静かつ理論的に交渉を進めます。相手にとっても「法的専門家が介入している」という心理的効果があり、無視できない状況をつくることで、解決への道筋をつけることが可能です。
共有不動産では、登記上の所有権だけでなく、
など、複雑な事情が絡み合っていることが少なくありません。これらを正確に整理しなければ、退去請求が認められないばかりか、逆に損害賠償請求を受けるなど不利な結果を招くおそれもあります。
弁護士は事実関係と法的根拠を客観的に分析し、どの権利を根拠に退去請求が可能かを判断した上で、もっとも適切な解決方法を提案します。
話し合いで解決しない場合、最終的には明渡請求訴訟や共有物分割請求調停、共有物分割請求訴訟といった法的手続きが必要となります。
これらの手続きでは、

など、多くの証拠が必要です。
また、裁判所に提出する書類や主張書面は、法律構成を誤ると請求自体が棄却されるリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、訴訟や調停を見据えて必要な証拠を網羅的に収集し、法律的に正しい主張を組み立ててくれるため、手続きを有利に進めることが可能です。
共有不動産問題は、家族間や親族間の感情的なしがらみが根強く残るため、当事者間だけでは話が平行線をたどるケースがほとんどです。「兄弟だから強く言えない」「離婚相手に言っても聞いてくれない」という相談も多く寄せられます。
弁護士という第三者が間に入ることで、相手も感情的ではなく現実的に対応せざるを得なくなります。また、交渉が決裂した場合でも、そのまま訴訟や調停へとスムーズに移行できるため、最終解決までを一貫してサポートできる点も大きな強みです。
共有名義の不動産に同居者が居座る問題は、法律的には「誰にどの権利があるか」が最重要ポイントです。感情的な対立だけで動くと問題が複雑化し、解決が遠のいてしまいます。退去交渉、訴訟、共有物分割など、最適な方法を選択するには専門的知識と戦略が必要不可欠です。
共有名義不動産の退去問題でお困りの方は、早めに弁護士へ相談し、適切かつ円満な解決を目指しましょう。
ダーウィン法律事務所では、不動産に関する問題を豊富に取り扱っておりますので、共有不動産に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。
まずご依頼の流れ(必読)をご確認いただき、お電話で相談希望を受付後、担当スタッフ、弁護士から折り返しいたします。
立場を明確にしていただく必要がありますので、ご連絡時、下記情報お伝えください