収益不動産とは、自己使用ではなく賃貸による家賃収入により利益を得ることを目的とした不動産です。アパートやマンション、オフィスビルなどを購入し、第三者に貸すようなケースがこれにあたります。
このような収益不動産が共有状態になっていると「収益不動産の経費分担」、「収益不動産の賃料収入の分配」、「収益不動産の管理方法」などの場面で共有者同士のトラブルが生じることがあります。共有状態の収益不動産から生じるトラブルを解決するには分配金請求による方法、共有関係の解消・離脱による方法、管理方法の協議による方法などがありますので状況に応じた適切な解決方法を選択するようにしましょう。
今回は、収益不動産のよくあるトラブルとその解決方法について、不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次

収益不動産は、自己使用ではなく家賃収入を目的として購入される不動産です。毎月一定の家賃収入が得られるため不労所得を確保できるなどのメリットがあるため、不動産投資として収益不動産を購入する方も少なくありません。
一般的には単独名義で収益不動産を所有することが多いですが、親が所有する収益不動産を複数の子どもが相続したようなケースでは収益不動産が共有状態になることがあります。また、百貨店などの大規模な店舗では、区分所有による区画の一つが「共有床」となり、第三者の店舗運営者に賃貸されていることがあり、これも収益不動産の共有が発生するケースです。
収益不動産が共有状態だったとしても共有者の関係が良好であれば、特に問題が生じることはありません。しかし、共有者の関係性が悪化すると以下のようなトラブルが生じる可能性があります。

このような収益不動産に関するトラブルが生じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

収益不動産を所有していると、主に以下のような経費が発生します。
収益不動産が共有状態である場合、このような経費については各共有者の共有持分の割合に応じて負担するのが原則ですが、共有者同士の話し合いでそれとは異なる割合を定めることも可能です。
共有者同士の関係が良好であれば、経費分担についても話し合いで解決できるため特段トラブルになることはありませんが、共有者同士の関係が悪化したり、疎遠であったりすると特定の共有者に経費負担が偏るなどのトラブルが生じることがあります。

収益不動産が共有状態であったとしても、賃借人から支払われる家賃は、各共有者にそれぞれ按分して支払われるのではなく、誰かの口座に一括して振り込まれるのが通常です。このような方法でなければ賃借人の負担が大きくなり、経費処理も面倒になるからです。
そのため、特定の共有者の口座に家賃収入が支払われること自体は問題ではありませんが、支払われた家賃は、各共有者の共有持分に応じて分配されなければなりません。特定の共有者が賃料収入を一人で独占してしまうと、他の共有者との間で賃料収入の分配をめぐってトラブルが生じてしまいます。
収益不動産の賃料収入の分配に関するトラブルは、収益不動産の経費分担のトラブルと同時に発生することもありますので、トラブルがより複雑になってしまうでしょう。

不動産が共有状態になっている場合、不動産の管理方法(変更行為、管理行為)については、共有者全員の合意または共有持分の過半数の合意が必要になります。
特に、収益不動産では、アパートやマンションなどの賃貸借契約を締結することになりますので、以下のような場面で共有者の協力が必要になってきます。

共有者同士の関係性が良好であれば、このような収益不動産の管理・変更が必要になったとしても、話し合いで解決することが可能ですが、関係性が悪化すると収益不動産の管理・変更に必要な意思決定ができなくなるケースも少なくありません。収益不動産でこのようなトラブルが生じると入居者にも影響が生じてしまいますので、放置するのではなく早期に適切な対応をとることが求められます。

収益不動産の経費分担や賃料収入の分配に関するトラブルが生じたときは、分配金の請求による解決方法が考えられます。
具体的には、収益不動産から得られる賃料収入を特定の共有者がまとめて受け取り、収益不動産の経費の支払いもその共有者が行った上で、残額を共有持分に応じて他の共有者に分配するという方法です。分配金の請求による解決方法では、分配金の計算の中の経費の合理性・妥当性について意見の対立が生じることが多いため、計算の根拠となる客観的資料を示しながら他の共有者に説明するようにしましょう。
ただし、分配金請求による解決方法は、その時点で合意ができ解決できたとしても、その後再び意見の対立が生じると同様のトラブルが生じる可能性があるため、根本的な解決にはならないというデメリットもあります。
収益不動産の共有によるトラブルを根本的に解決するなら共有関係の解消または離脱による解決方法を検討するべきでしょう。共有関係を解消または離脱する具体的な方法としては、主に以下のような方法が考えられます。
このうち代表的な共有関係の解消方法は、「共有物分割請求」になります。共有物分割請求とは、共有状態の解消を目的として他の共有者全員を相手に共有物の分割を請求することをいいます。
共有物分割請求をする場合、まずは共有者同士の話し合いにより、共有者の一人が他の共有者の持分をすべて買い取る(代償分割)または収益不動産全体を売却して売却代金を共有持分割合に応じて分配する(換価分割)のいずれかの方法を検討します。共有者全員の合意が得られれば、共有状態の解消または離脱が可能ですが、合意が得られないときは、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起しなければなりません。
裁判になると裁判所が共有物分割方法を決定しますので、当事者が希望する分割方法にはならない可能性もあります。そのため、できる限り共有者間の協議による分割を目指していくべきでしょう。
収益不動産の管理方法に関するトラブルが生じたときは、共有者同士で管理方法を協議して解決していくことになります。
共有者全員が納得できる結論が得られれば、その内容で収益不動産の管理を継続することができます。共有不動産から生じるトラブルを解決するには、共有状態の解消または離脱が一般的な方法といえますが、収益不動産は、資産価値の高い不動産になりますので、簡単には共有持分を手放すことができないケースも多いでしょう。そのような場合、共有者同士の話し合いにより解決していくことが基本となりますが、うまく話し合いが進められないという場合には弁護士の利用を検討してみましょう。
不動産問題に詳しい弁護士であれば、収益不動産に関するトラブルの解決方法を熟知していますので、共有状態を解消・離脱する方法以外の手段によりトラブルの解決を図ることも可能です。また、弁護士が代理人として他の共有者との交渉をすることで、円満な話し合いを実現できるというのも弁護士に依頼するメリットの一つです。
収益不動産は、毎月一定の家賃収入が得られるため不労所得を確保できるなどのメリットがあるため、投資目的で所有している方も少なくありません。しかし、一般的な不動産と同様に収益不動産の共有もトラブルが生じる原因となりますので、相続などをきっかけに意図せずに共有状態になったときは、早めに共有状態の解消などの方法を検討した方がよいでしょう。
収益不動産の共有から生じるトラブルを解決するには、不動産トラブルに詳しい弁護士によるサポートが不可欠です。ダーウィン法律事務所では、不動産に関する問題を豊富に取り扱っておりますので、共有不動産に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。
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