使われていない不動産のことを「遊休不動産」と呼ぶことがあります。具体的には、空き家、空き地、放置された農地・工場・倉庫などがこれにあたります。このような使われていない不動産は、主に不動産の利用価値が低い、建物などを解体するのに多額の費用がかかるなどの理由で放置されていることが多いです。
他方、共有不動産の場合、不動産を活用したくても他の共有者から合意が得られずに使われていない状態になることもあります。使われていない共有不動産があるとさまざまなトラブルが生じますので、早期に共有状態を解消するか、共有不動産の活用を検討していくべきでしょう。
今回は、使われていない共有不動産に関するよくあるトラブルとその解決方法について、不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次

一般的に使われていない不動産のことを「遊休不動産」と呼びます。具体的には、以下のような不動産が遊休不動産に該当します。
| ・空き家
・空き地 ・放置された農地 ・現在使用されていない工場や倉庫 ・空き店舗やビルの空きテナント |
このような使われていない不動産が生じる原因にはさまざまものがありますが、主に少子高齢化、相続問題、不況による事業撤退、建物の老朽化などが挙げられます。
また、共有不動産の場合には、以下のような理由で使われなくなることがあります。
単独所有の不動産に比べて共有不動産は、共有者の同意がなければ不動産の利用や活用ができないため、遊休不動産が生じる可能性が高くなります。使われていない共有不動産があると以下のようなトラブルが生じることがありますので注意が必要です。
このようなトラブルが生じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

使われていない共有不動産がある場合に生じるトラブルの1つ目は、管理コストの負担です。
共有不動産に限らず不動産を所有することで、以下のような管理コストが発生します。
| ①税金
・固定資産税 ・都市計画税 ・登録免許税
②修繕・メンテナンス費 ・屋根や外壁の塗装 ・給排水設備の修理 ・空調やエレベーターの保守
③管理会社への委託費 ・共用部の清掃 ・家賃の集金、滞納対応 ・入退去時の対応
④空室リスクと広告費 ・空室期間の損失 ・入居者募集のための広告費や仲介手数料
⑤保険料 ・火災保険 ・地震保険
⑥法定点検費用 ・防火設備の点検 ・エレベーターの点検 ・貯水槽の点検 |
共有不動産を活用できていればこのような管理コストを上回る利益を得ているはずですので、管理コストがかかったとしてもそれほど大きな負担とはいえません。
しかし、使われていない共有不動産の場合、共有不動産から得られる利益はほとんどないにもかかわらず、管理コストだけ負担しなければなりませんので、共有不動産の所有者にとっては大きな負担となるでしょう。


使われていない共有不動産がある場合に生じるトラブルの2つ目は、近隣住民からの苦情です。
使われていない不動産に関して、近隣住民から寄せられる主な苦情やトラブルには以下のようなものがあります。
| ①雑草の繁茂、害虫・害獣の発生
長期間手入れされていない土地では雑草が伸び放題になり、蚊やダニ、ネズミ、野良猫などが繁殖することがあります。 雑草や害虫・害獣が隣家に侵入する事態になると、近隣住民の生活環境を悪化させる要因になります。 ②ごみの不法投棄 空き家や空き地は、誰も管理していない場所とみなされて、ごみの不法投棄の温床になりやすいです。ごみの不法投棄が続くと臭気や景観の悪化につながり、近隣住民の迷惑となるでしょう。 ③倒壊や部材落下の危険 空き家が老朽化すると地震や台風により建物の倒壊、瓦や壁材の落下のおそれがあり、近隣住民の不安に直結します。倒壊や部材の落下により怪我すると賠償問題にも発展してしまいます。 ④不審者の侵入、治安の悪化 誰も使っていない家や土地に不審者が侵入し、たまり場になったり、放火や盗難などの犯罪が発生する可能性があります。 ⑤火災のリスク ゴミや枯れ草が放置されていると放火や自然発火のリスクが高まります。家裁が発生すれば近隣の住宅に延長するリスクも生じます。 |
共有不動産だとこのような近隣住民からの苦情やトラブルに対して誰が対応すればよいかわからず放置してしまいがちです。近隣住民からの苦情やトラブルに適切に対応しないと、近隣住民との関係性が悪化し、行政を巻き込んでトラブルになる可能性もあります。

使われていない共有不動産がある場合に生じるトラブルの3つ目は、資産価値の低下です。
使われていない不動産は、適切に管理・活用されないことにより資産価値が減少する可能性が高いです。その主な要因は、以下のとおりです。
| ①物理的劣化(老朽化)
建物が使われずに放置されると、風雨や湿気、日照などにより急速に劣化します。雨漏り、シロアリ被害、腐食、カビなどが発生すると建物の資産価値は大きく下がり、再利用や売却時に多額の修繕費が必要になることがあります。 ②周辺環境への悪影響 前述のとおり、雑草の繁茂、ゴミの不法投棄、不法侵入などにより近隣住民とのトラブルが発生すると売却時に買い手がつかなくなり、価格を下げなければ売却できないことがあります。 ③市場評価の低下 長期間利用されていない不動産は、「問題物件」とみなされやすくなり、買い手から敬遠されてしまいます。その結果、相場よりも低価格でしか売却できず、最悪のケースでは売れないこともあります。 ④周辺開発から取り残される 周囲の地域が再開発されても共有者の同意が得られずに放置された共有不動産は、再開発から取り残される形になりますので、周辺土地に比べて大幅に価値が低下してしまいます。 |
このように遊休不動産は、持っているだけで価値が落ちる資産といえます。共有不動産の売却や活用を考えているのであれば、資産価値が高いうちに売却・活用するべきですので、早めに行動することが重要です。

使われていない共有不動産によるトラブルを解決する根本的な方法は、共有関係を解消または離脱する方法です。
共有関係の解消または離脱する具体的な方法としては、以下のようなものがあります。

このうち共有持分の譲渡は、使われていない共有不動産では現実的な方法ではありません。なぜなら、使われていない共有不動産は、資産価値が乏しく、近隣住民との関係でもトラブルが生じているケースが多いため、あえて共有持分のみを欲しがる人がいないからです。
そのため、一般的には、共有物分割請求または共有持分の放棄を検討することになります。使われていない共有不動産にある程度の資産価値があるなら共有物分割請求により共有不動産を売却し、売却代金の分配を受けた方がよいですが、資産価値が乏しいなら共有持分の放棄を検討してもよいでしょう。
使われていない共有不動産がある場合、本当に活用方法がないのか再度検討してみることも有効な手段といえます。
売却が困難な土地であれば、太陽光発電や風力発電の設備を設置して活用するというのも一つの方法です。共有者が売却にどうしてくれなくても、このような活用方法であれば応じてくれる可能性もありますので、いくつか活用プランを準備して他の共有者に提案してみるとよいでしょう。
使われていない共有不動産があると管理コストの負担、近隣住民からの苦情、資産価値の低下などのトラブルが生じる可能性があります。このようなトラブルを解決するには、共有関係を解消・離脱するのが根本的な解決といえますが、それには専門家である弁護士のサポートが不可欠です。
早期に共有関係を解消・離脱するためにも共有不動産に関するトラブルでお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。ダーウィン法律事務所では、不動産に関する問題を豊富に取り扱っておりますので、共有不動産に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。
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