共有不動産全体に抵当権を設定するには、共有者全員の同意が必要になりますが、共有持分であれば、共有者が単独で抵当権を設定し、金融機関から融資を受けることができます。
ただし、金融機関への返済が滞り、共有持分の抵当権が実行され競売に掛けられてしまうと、他の共有者にも影響を及ぼすことになりますので注意が必要です。その他にも共有持分に抵当権を設定する際に気を付けるべきポイントがありますので、しっかりと押さえておきましょう。
今回は、共有持分に抵当権を設定する際の5つの注意点について、不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次


金融機関としては、債務者から債務の弁済がなかったとしても、抵当権を設定した土地および建物を競売にかけることで、そこから優先的に債権回収を行うことができるというメリットがあります。
共有不動産全体に抵当権を設定するには、共有者全員の同意が必要になりますが、共有持分に抵当権を設定する場合には、他の共有者の同意がなくても抵当権を設定することができます。
なぜなら、共有持分は、共有者が自由に処分できる財産ですので、担保権を設定する行為も共有持分の処分として自由に行うことができるからです。

共有持分に抵当権を設定する最大のメリットは、他の共有者の同意を得ることなく、金融機関から資金調達をすることができるという点です。
共有不動産を担保に金融機関から融資を受けるには、共有者全員から同意を得なければならず、抵当権を設定することに反対する共有者がいると融資を受けることができません。事業資金や緊急の資金需要に対応するには、他の共有者を説得する時間的余裕がないこともありますので、自分の意向だけで抵当権を設定できるというのは大きなメリットといえるでしょう。
共有持分に抵当権を設定するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
共有持分は、共有不動産全体を使用することができる権利ですので、一定の財産的価値を有しています。しかし、共有持分の担保価値の評価は難しく、金融機関によっては共有持分の担保価値を認めていないところもあります。また、担保価値が認められたとしても、共有不動産全体に抵当権を設定する場合に比べて、低い評価しか受けられないため、希望する融資額に満たない可能性もあります。
このように共有持分に抵当権の設定が可能であるといっても、共有持分の評価次第では、融資を受けられない可能性があります。
共有者が金融機関への返済を怠ると、共有持分に設定された抵当権が実行されて、競売手続きが行われることになります。
競売手続きにより共有持分が競落されると、買受人が新たな共有者として加わることになりますので、権利関係が複雑化するおそれがあります。まったく面識のない第三者が共有者に加わると、将来の共有物の管理や処分の際に意見の衝突が生じるなどして、共有不動産の管理・処分に支障をきたす可能性もあります。
また、買受人が共有不動産の売却を希望する場合、共有物分割請求訴訟を提起され、裁判の結果次第では、他の共有者も共有持分を手放さなければならない事態にもなりかねません。

抵当権は、不動産の共有持分に設定することはできますが、共有持分の一部に設定することはできません。
そもそも抵当権は、権利の一部に設定することができませんので、単独所有の不動産で所有権の一部に抵当権を設定できないように、対象が共有持分の場合も同様に共有持分全体に抵当権を設定しなければならないからです。
そのため、共有持分に抵当権を設定する場合は、ご自身の共有持分全体を担保として提供しなければなりません。
共有持分に抵当権が設定された場合、抵当権は、設定された共有持分にのみ及びますので、他の共有者の共有持分に影響を与えることはありません。
債務者である共有者が債権者への返済を怠った場合、抵当権の実行により競売手続きが開始されますが、競売の対象となるのも抵当権が設定された共有持分の部分に限られます。
共有持分に抵当権が設定された後、共有物分割が行われた場合、抵当権は、分割後の持分だけではなくすべての不動産を対象として効力が及びます。

これは共有物分割により抵当権者に生じる不利益や不公平を避けるためのものになります。
共有者が被担保債権を完済すれば、抵当権が消滅しますので、抵当権の抹消登記請求を行うことができます。
抵当権を設定した共有者が抹消登記請求できるのは当然ですが、他の共有者も保存行為として単独で抹消登記請求を行うことができます。完済後も抵当権の登記が残ったまま放置されていると売却や担保の設定が困難ですので、早めに抹消登記請求を行うようにしましょう。
抵当権は、複数の不動産にまとめて設定することも可能です。
共有持分だけでは担保価値が不足するような場合には、他の不動産もまとめて担保に提供することで希望額での融資の実行を受けられる可能性が高くなります。
また、複数の不動産にまとめて抵当権を設定すれば、個別に設定する場合に比べて登記申請の手数料も安く抑えることができます。

共有持分を担保に融資を受けようとしても、担保価値の評価が難しく、金融機関によっては融資を受けられない可能性もあります。そのような場合には、共有持分や共有不動産の売却によって資金需要を満たすことが可能です。
ただし、選択する手段によっては他の共有者との交渉が必要になるものもありますので、どのような手段を選択すべきかは、専門家である弁護士に判断してもらった方がよいでしょう。不動産問題に詳しい弁護士であれば、さまざまな手段の中から最適な解決方法を提案することができます。
共有持分に関するトラブルが生じたときは、まずは他の共有者と話し合いを行い、トラブルの解決を目指します。しかし、当事者同士の話し合いでは、感情的になるなどして意見の衝突が生じ、スムーズな話し合いが困難なケースも少なくありません。
他の共有者の交渉が必要なケースでは弁護士に対応を任せた方がスムーズに話し合いを進めることができますので、ご自身で対応するのが難しいという場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
共有者との話し合いが決裂したときは、最終的に裁判により決着をつけることになります。
弁護士に依頼をすれば、裁判に発展したときの対応も任せられますので、ご自身の負担はほとんどありません。適正な条件で解決するには、法的知識や経験が不可欠となりますので、専門家である弁護士に任せた方が安心です。
共有持分に抵当権を設定することは可能ですが、共有持分の担保価値の評価は難しく、担保が共有持分だけでは融資を受けられない可能性もあります。このように不動産が共有状態だとさまざまな制約ありますので、できる限り早期に共有状態を解消した方がよいでしょう。
共有不動産の共有状態を解消する際には、専門家である弁護士のサポートが不可欠となりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。ダーウィン法律事務所では、共有不動産に関する問題を豊富に取り扱っておりますので、共有不動産に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。
まずご依頼の流れ(必読)をご確認いただき、お電話で相談希望を受付後、担当スタッフ、弁護士から折り返しいたします。
立場を明確にしていただく必要がありますので、ご連絡時、下記情報お伝えください