日本では高齢化が進行しており、65歳以上の高齢者の人口が増えてきています。不動産の仲介事業者の中には、高齢者を相手として不動産取引を行う機会が増えたと感じる方もいるかもしれません。
このような高齢者との不動産取引においては、一般的な不動産取引とは異なるリスクが潜んでいますので、トラブルに巻き込まれないようにするためにも高齢者との不動産取引の注意点を押さえておくことが大切です。
今回は、仲介事業者に向けて高齢者との不動産取引の注意点を不動産問題に詳しい弁護士が解説します。
目次

高齢者が不動産取引の内容を十分に理解していない状況で取引を進めてしまうと、途中で「こんな契約をするつもりはない」などと言われてしまい、最終的な契約に至らないことがあります。契約が不成立になってしまうと、それまでにかけた時間や労力がすべて無駄になってしまいますので、高齢者と不動産取引を行う際には、以下の点をしっかりと確認することが大切です。
・高齢者が契約内容を理解できるか
・契約の動機は何か
・契約する意思があるのか
また、高齢者が所有する不動産取引では、実際の事務手続きを高齢者の親族が行うケースも少なくありません。しかし、代理権のない親族が不動産取引に関与しても、契約成立には至りませんので、親族の代理権の有無を確認することも重要です。
高齢者に契約を締結するために必要になる意思能力がない場合には、契約が無効になってしまう可能性があります。高齢化の進行に伴い、認知症を患う高齢者も増えてきています。
認知症を患っているからといって直ちに意思能力が失われるわけではありませんが、取引相手の意思能力の有無の判断を怠ると、契約後に無効を主張されるトラブルになるおそれがありますので注意が必要です。
高齢者との不動産取引では、契約途中に当事者である高齢者が亡くなってしまうというケースも少なくありません。契約途中に当事者である高齢者が亡くなってしまった場合、高齢者の相続人を探して、契約関係の承継をしていくことになります。
しかし、相続人が契約関係の承継を希望しない場合には、契約を破棄して精算関係の協議をしていかなければなりません。
また、亡くなった高齢者に相続人がいない場合、裁判所に相続財産管理人の選任申立てをしなければならないケースもあるでしょう。

年齢が高ければ高いほど意思能力低下のリスクが高くなりますので、不動産取引に入る前提として、本人の年齢確認が重要になります。
本人の健康状態も意思能力に影響を与える要因の一つとなりますので、以下のような事項を確認します。

本人が要介護認定を受けているようであれば、介護資料の提出を求めて、要介護度を確認してください。目安として、日常生活自立度Ⅲ以上または要介護認定度3以上に該当すると、意思能力が低下しているリスクがあるといわれています。
本人が一人暮らしであるかどうか、介護施設に入居しているかどうかを確認します。
家族の支援がなければ一人で生活を送ることが困難な状況であれば、意思能力が低下している可能性がありますので、そのまま不動産取引を進めるのはリスクがあるでしょう。
高齢者が不動産取引を希望する動機を確認します。
契約の目的や動機が合理的なものであるかどうか、不動産取引により生じる利益や不利益を理解できているかどうかによって、本人の意思能力の有無や程度を推認することができます。
高齢者との不動産取引では、家族が手続きを代行するケースも多いですが、意思能力の有無を判断するには、本人と直接面談することが大切です。
本人との面談では、取得の経緯、売却の動機、売却希望価額、売却取引手順などを話題にしながら、媒介契約・売買契約の意味や効果を認識し得る能力、媒介契約・売買契約を締結することや契約内容、条件が自己によって損か得か、不動産を売却することで事故の将来の生活がどうかわるのかなどの判断ができているかを確認します。

成年後見制度とは、認知症や精神障害などにより判断能力が不十分になった本人を保護・支援するための制度です。裁判所により選任された成年後見人が本人に代わって財産管理や身上監護を行うことができますので、本人の意思を尊重しながら財産や生活を守ることが可能です。
成年後見制度では、本人の意思能力の低下の程度に応じて、以下の3つの類型が設けられています。

たとえば、認知症により判断能力がほとんど失われ、自分では契約を理解できない高齢者であれば、裁判所に申立てをすることで成年後見人が選任されます。成年後見人選任後は、高齢者本人ではなく、成年後見人との間で不動産取引を進めることができますので、本人の意思能力の有無によって契約が無効になるリスクを回避できます。
ただし、成年後見人が本人に代わって居住用不動産の処分をする場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
高齢者が不動産取引の当事者になるケースでは、意思能力の低下を理由として契約後に成年後見人の選任申立てがなされることもあります。
契約後に成年後見人の選任申立がされた場合、成年後見人は、残りの契約を履行するか、取り消しをするか選択を迫られます。本人が締結した契約が本人にとって不利益な内容であったり、不利な条件が含まれているようなケースでは、成年後見人により契約の取り消しがなされるリスクがあります。このようなリスクを回避するには、当初から適正・公正な条件で契約を締結することが大切です。
また、不動産取引の際には、親族にも同席してもらい契約内容を十分に確認してもらうとともに、親族から不動産取引に同意する旨の確認書を取り付けておくと安心です。

弁護士というと何らかのトラブルが生じたときに依頼する専門家であるというイメージがあるかもしれません。しかし、顧問弁護士は、実際のトラブルの対応だけでなく、トラブルを未然に防ぐという予防法務も重要な役割の一つになります。
不動産取引は、金額も高額になりますのでトラブルが生じたときの損害も非常に大きくなります。トラブルの内容によっては経営にも重大な影響を及ぼすおそれがありますので、安定した経営を行うには、法的トラブルを未然に防ぐという視点が重要です。
顧問弁護士に依頼すれば、専門的な知識や経験に基づいてアドバイスをしてもらうことができますので、法的トラブルを未然に防ぐことが可能です。
不動産取引にあたって法的な悩みや困りごとが生じたとしても、弁護士に相談するには、事前に予約をして面談相談をしなければならないため、面倒に感じてそのまま取引を進めてしまうケースも少なくありません。
しかし、顧問弁護士であれば、いつでも気軽に相談ができますので、法的な悩みや困りごとが生じたときはすぐに相談をすることができます。相談の方法も面談相談だけでなく、電話やメール相談なども受け付けていますので、迅速にアドバイスが得られるというのもメリットといえるでしょう。
不動産取引においてトラブルが生じたとしても、すぐに適切な対応をすれば深刻なトラブルに発展する前に問題を解決できる可能性があります。
しかし、顧問弁護士がいないと弁護士に依頼するためには、まずは相談の予約をして、面談相談を行い、トラブルの内容を一から説明しなければならないなど非常に時間と手間がかかります。これでは、実際に弁護士がトラブルの解決に向けて着手する前に、深刻なトラブルに発展してしまうおそれがあります。
顧問弁護士であれば顧問先企業を優先的に対応することができ、企業の実情もよく把握していますので、迅速にトラブル対応に着手することができます。
高齢者との不動産取引においては、高齢者の意思能力の有無を確認することが重要です。高齢者の意思能力に疑義が生じたときは、そのまま不動産取引を進めるのはリスクがありますので、親族などと相談して成年後見制度を利用するべきでしょう。
高齢化の進行とともに、高齢者を相手に不動産取引を行う機会が増えてきています。高齢者との不動産取引により生じるリスクを回避・軽減するには、法律の専門家である弁護士のアドバイスやサポートが必要になりますので、顧問弁護士の利用をおすすめします。
不動産業に詳しい弁護士をお探しの方は、ダーウィン法律事務所までお気軽にご相談ください。
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