不動産を複数人で共有していると、「固定資産税は誰が払うのか」「支払額はどう分担すべきか」という問題を避けて通ることができません。
特に、共有名義の不動産では、納税通知書が共有者のうち1人にしか届かず、実際の負担割合や支払い方法をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。
そのため、「自分が立て替えて払っているが、他の共有者が負担してくれない」「不公平な分担を強いられている」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
今回は、共有不動産における固定資産税の分担ルールや法的義務の考え方、支払わない共有者への対処法を、不動産問題に詳しい弁護士のがわかりやすく解説します。
目次

共有不動産とは、1つの土地や建物を複数人が共同で所有している状態をいいます。
たとえば、相続によって兄弟姉妹で土地を共有するケースや夫婦で住宅ローンを組んで共同名義にしたケースなどが代表的です。
共有不動産では、各共有者が「持分割合」に応じて所有権を持ちます。持分割合は、登記簿に記載され、たとえば兄が3分の2、弟が3分の1といったように、登記によって明示されます。この「持分割合」は、不動産の管理・売却・分割の際だけでなく、固定資産税の負担割合を考えるうえでも非常に重要な基準となります。
固定資産税は、不動産を所有している者すべてに納税義務があります。
しかし、実務上は自治体が「代表者指定制度」に基づき、共有者のうち1名を代表者として指定し、その人物にまとめて納税通知書を送付します。
行政としては、共有者全員に通知を送る手間を省くための仕組みですが、この制度が原因で「通知が届いた人だけが税金を支払う」という事態が発生しやすくなります。
他の共有者には課税額が知らされないことも多く、誰がどれだけ負担すべきかの話し合いが曖昧になりがちです。
共有不動産では、固定資産税の負担に関して、以下のようなトラブルが生じることがあります。

このように、共有不動産では法的には全員に納税義務があるのに、実務上の支払いが偏りやすいという構造的な問題を抱えています。
その結果、立替分の精算をめぐって金銭トラブルや人間関係の悪化につながるケースも少なくありません。

固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点で不動産を所有している者とされています。
したがって、共有不動産の場合は、登記上の全共有者が納税義務を負うことになります。
つまり、共有者の1人だけが支払えばよいというわけではなく、法的には全員が連帯して固定資産税の支払い義務を負っているのです。
もっとも、実際には自治体が全員に個別の請求を行うわけではなく、次に説明する「代表者指定制度」に基づいて手続きが進められます。
地方税法では、共有者が複数いる場合に、自治体が「代表者」を指定できる旨が定められています。
これは、課税・徴収事務を簡略化するための制度であり、代表者宛に納税通知書が1通送付される仕組みです。
ただし、この「代表者」はあくまで行政手続き上の窓口に過ぎず、代表者がすべての税金を負担する義務を負うわけではありません。実際の負担割合は、共有者の持分に応じて分担するのが原則です。
固定資産税の支払いについては、法的な納税義務者(全共有者)と、実際に支払いを行う人(代表者など)が一致しないことがあります。
たとえば、代表者が毎年税金を立て替えて払い続けているケースでは、「代表者が支払った=他の共有者の負担分も肩代わりした」という構図が生じます。
この場合、代表者が支払った金額のうち他の共有者の持分に相当する分については、求償権を行使して返還を求めることが可能です。
つまり、「代表者だからすべてを負担しなければならない」というわけではなく、法的には公平な精算が認められています。
共有不動産の固定資産税を1人が立て替えた場合、立て替えた共有者は他の共有者に対して立替金の求償請求を行うことができます。
この求償請求は、任意の話し合いで精算できない場合、調停や訴訟を通じて請求することも可能です。
また、税金を長期間1人で払い続けていると、「暗黙のうちに合意していた」と誤解されることもあるため、支払いごとに明細を共有したり、LINEや書面で負担割合を明確にしておくことが望ましいでしょう。

固定資産税の負担は、原則として共有持分割合に応じて分担するのが基本です。
たとえば、兄弟2人で土地を共有し、兄が3分の2、弟が3分の1の持分を持っている場合、固定資産税9万円のうち、兄が約6万円、弟が約3万円を負担するのが公平といえます。
ただし、持分割合と実際の利用状況が大きく異なる場合(たとえば、一方が単独で土地を利用しているなど)は、話し合いによって負担割合を変更することも可能です。
このような場合は、トラブルを防ぐためにも、書面で合意内容を残しておくことが重要です。
代表者や一部の共有者が固定資産税を立て替えた場合は、支払い後に精算を行うのが一般的です。領収書や納税通知書のコピーを共有し、各人の負担額を明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。
立替分を精算する際は、次のような流れで行うのがスムーズです。
このように透明性を確保しながらやり取りを行うことで、感情的な対立を避けることができます。
共有不動産を取得した時点で、あらかじめ固定資産税の支払いルールを契約書や覚書にしておくことが理想です。
たとえば、

などの取り決めを行えば、後々の誤解や不信感を防げます。
特に、相続などで複数の相続人が共有者になる場合、費用負担に関する取り決めの有無がトラブルの分かれ道になることも多いです。

最初の対応としては、話し合いや文書による通知を行うのが基本です。
「支払っていない」「自分の負担分を理解していない」など、相手に悪意がないケースも多いため、まずは冷静に説明し、負担額と支払期限を明示したうえで請求しましょう。
通知文には以下のような内容を記載すると効果的です。
なお、通知による請求の場合、内容証明郵便を利用すれば、後に証拠としても活用できます。
共有者同士で話し合いをしても支払われない場合は、裁判所を通じた法的手続きを検討しましょう。
請求額が60万円以下であれば、簡易裁判所で「少額訴訟」を利用できます。
短期間で解決でき、費用も比較的少なく済む点がメリットです。
また、金銭トラブルが感情的な対立に発展している場合は、民事調停を申し立て、裁判所の調停委員を交えて話し合う方法も有効です。
第三者が介入することで冷静な議論ができ、合意に至るケースも多くあります。
それでも支払いに応じない場合や関係が完全に悪化してしまった場合には、共有関係の解消を検討することも一つの方法です。
たとえば、支払わない共有者の持分を買い取る「持分買取」や、裁判所に「共有物分割請求」を申し立てて不動産を分割・売却する方法があります。
共有物分割請求は最終手段ではありますが、固定資産税の支払いをめぐるトラブルを根本的に解決できる場合もあります。
いずれの方法を選ぶにしても、法的なリスクや手続きの流れを弁護士に相談したうえで判断することが重要です。

共有者の中に固定資産税を支払わない人がいる場合、長期的に放置すると関係修復が困難になります。
特に、相続によって共有関係が生じた場合、「誰がどれだけ払うべきか」「今後どう管理するか」をめぐって兄弟間の争いが激化することもあります。
このような状況では、第三者として弁護士が介入し、法的な整理と冷静な交渉を行うことが有効です。弁護士が入ることで、感情論ではなく法律に基づいた話し合いが可能となり、早期の解決につながるケースが多くあります。
「もう一緒に不動産を持ち続けたくない」「支払いの負担を解消したい」と考える場合は、共有関係の解消を検討すべきです。
共有物分割請求には、「現物分割」「代金分割(換価分割)」「持分買取」の3つの方法があり、どの方法が最適かは不動産の種類や関係性によって異なります。
弁護士は、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを整理し、依頼者に最も負担の少ない形での解決を目指します。
弁護士が提供できる主なサポート内容は、次のとおりです。
特に、固定資産税を長年立て替えている場合や共有者が複数・遠方にいる場合は、弁護士に一任することで負担を大幅に軽減できます。
共有不動産の固定資産税は、全共有者に納税義務がある一方で、代表者だけに通知が届く仕組みのため、支払いの偏りやトラブルが生じやすい問題です。
公平に分担するためには、持分割合に基づいた取り決めや、立替分の精算ルールを明確にしておくことが重要です。
もし他の共有者が支払いに応じない、話し合いが難航しているといった場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
ダーウィン法律事務所では、固定資産税の求償請求・共有物分割・交渉対応まで一貫してサポートしています。共有不動産のトラブルでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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